村に行こう!
いざ扉を開けて外に出る。
「街はどこだろう?」
辺りには一面の草、そして小高い山々が見えている。
どこかに道のようなものは…...。
「あっ!」私の家の周りには草が生えていない。
そしてそれに続くように草の生えていない道のようなものが続いていた。
「よし!思い立ったらすぐ行動、レッツゴー!」
ワクワクした気持ちを剥き出しで思わず腕を振っていた。
歩いてすぐ家からは200メートルくらい離れている場所に一本の細道があった。
「何だろう? 」
細道に入りしばらく歩くと大きな山に不自然なが空いていた。
幅20メートル高さも10メートルくらい?
奥は暗くのぞいても一番奥まで見えない。
「まあ急いでるわけでもないし入ってみますか 」
コツコツコツコツ
靴の音が洞窟に反射して何だか不気味だ。
50メートルほど進むとさっきまでいた入口は拳くらいの大きさになっていた。
「それにしても暗いな、ライトなんてあるわけ......あっ! 」
そうだ肝心なことを忘れていた、ここは異世界だ。異世界なら魔法が使えるかも!
私は焦る気持ちを抑えてて左手を胸元に置いて深呼吸する。
「ふぅーー、はっ!」
右手人差し指を前に出し洞窟中に響き渡る声で言った。指先に小さい魔法陣ができそこからラムネに入っているビー玉くらいの光る球体が出てきた。
ピカーーン
「はっっ眩しっ! 」
あっという間にあたりが照らされて目の前が真っ白になった。
「うーー、あれ眩しくない? 」
徐々に目が光に慣れて辺りがはっきりとしてくる。
すると目の前には青、緑、オレンジ様々な色に輝く鉱石が洞窟の至る所に散りばめられていた。
「すっごい、綺麗! 」
この景色この魔法間違えないここは異世界だ。
ポヨンポヨン
ん?
足元になにやら冷たく柔らかい感触が......。
「あっ!スライム 」
初めて出会ったモンスターだが意外と緊迫感はない。
しかもこのスライム黒い!
見た目はとても可愛いがどうやらさっきから体を私の足にぶつけて攻撃?をしているようだ。
モンスターなら倒さなくては。
とりあえずナイフを抜き攻撃しようとするが刺しても刺しても全くダメージが入った感じがしない。
物理攻撃はダメなのかな?
ポヨンポヨンポッヨーーン
スライムは大きなジャンプをして飛びかかってくる。
「えい!必殺平手打ち 」
ペチンッ!
いい音が鳴ると共にスライムは消えまた体にオーブが入ってきた。
コロン
ん?何だろう。
拾ってみるとガラスの塊のようなものが落ちていた。
何かは分からないけどとりあえず持って行こう。
そうだ、洞窟を出る前に鉱石を取っていこう。
ちょうどスライムを倒した場所に青色の鉱石が頭を出している。
青色の鉱石をポンっと抜いてみるとフワフワと浮くオーブのようなものが私の胸元から体に入って行った。
何ともいえない感覚だ。
一瞬心臓のあたりが暖かくなり落ち着くようなこの感覚は......。
ポヨンポヨン
へ?
すると目の前に大量のスライムが出現した、それも全部真っ黒だ。
こうなったらやるしかない!
ペシッ!ペシッ!スカッ ペシッ!
10分くらいしただろうか、目の前にいた大量のスライムを全て倒した。
「うわーーこの塊どうしよう 」
洞窟の床にはこれまた大量の塊が落ちている。
ひとまず一つだけ持っていくことにしよう。危険なものだったら大変だ。
「よしっ!ひとまずこれくらいにして再び街へレッツゴー!! 」
5分ほど歩いていると街が見えてきた。
規模的に街というよりは村だろう。
これこそ異世界らしいと思いさらにテンションも上がりスキップで村の入り組まで向かう。村はよくあるRPGゲームの最初の村という感じでいかにも平和そうだ。
道では魚や野菜を売っている出店や、おそらく魔術の道具であろう杖や本も売っている。
「おや、見ない顔だな 」
店を見ていると中から黒いローブを着た青髪長髪の美人なお姉さんが出てきた。
「最近この村の周辺に引っ越してきたんですが、この村のこと教えてもらえませんか? 」
「ここは"ブラウ村"だ詳しく知りたいようならギルドで聞いた方がいいな。ここをまっすぐ進んで…初めて来たんだろ?せっかくだ、私がギルドまでおくってやろう 」
「ありがとうございます 」
見た目からしておそらく魔術師かな?
ギルドまで向かう途中、店や通貨についての簡単な説明をしてくれた。
「ここがギルドだ 」
扉の上にはこちらの言語で《ブラウ村 ギルド》と書いてある。
「あっおはようございます。ブライトさん」
中に入ると階段も階段に挟まれた受付のような場所から可愛らしい白色のフリルを着た女性が挨拶をした。
「おはようカナリアくん、早速だがこちらの少女にこの村についての説明をしてくれたまえ」
「了解しました 」
「それじゃあな 」
「ありがとうございました 」
ブライトさんは手を振り帰っていった。
ギルドはいかにも中世の酒場という感じで、席に座って食事をしている人や肩を組んで酔っ払ってる人もいた。
「私は、アサヒといいます。平原の一軒家に引っ越してきました。これからよろしくお願いします 」
「あそこですか。あの場所はこの村から近くも遠くもなく微妙な場所だったので。住む人がいなかったんですよ。元気で若い方が引っ越してくださって安心です 」
そこからカナリアさんの村解説が始まった。
この村はとにかく安全なのだろう。
カナリアさんの行う解説には枕詞のように安全という言葉が使われていた。
心地よく暖かな空気が流れていた。
話を聞いている限り、この村では特にトラブルもなく多くの動物を飼っていて、特産品はふかふかの布団に美味しい乳製品とのことだ。
「この村の近くではほとんどモンスターも住んでいないので安心ですよ 」
「それは良かったです 」
「あまり大きな村ではありませんが、必要最低限の物資、食料は手に入るので遠出することはあまりありません。人口はそこまで多くないですが駐在の軍人さんがいるので防衛も万全です 」
ふと、ポケットに手を入れる
「あっ! 」
私がいきなり大きな声を出してしまったからかカタリナさんが驚いていた。
大声出してすいません。
「村に来る途中にこんなものを拾ったのですが 」
先ほど拾った青い石とモンスターを倒した時に出てきた石を机に出す。
「これはブラウ鉱石の原石とモンスターを倒す時に出る魔法石ですね。魔法石はギルドや一部店舗で換金できます。これは800ゴールドですね。銅貨8枚です 」
銅貨8枚ってどれくらいなんだろう800円くらいかな?
「ブラウ鉱石は魔道具や装備に加工できる素材ですね。でもこれ原石の状態から磨き出すのが大変なんですよ。それに削ってもこの村で加工できる人はいないのであっても子供のおもちゃとかになってますね。ですが換金できますよ。大体これは1000ゴールドくらいですね 」
拳くらいのサイズでこの値段、相場が分からないから何ともいえない。
そうだ、もう一つ聞きたいことが。
「あの、鉱石を取ったときにフワフワしたオーブみたいなのが浮いててそれが体に入ったんですが 」
「ああ、それは経験値ですよ。モンスターを倒したり鉱石を取ったりすると経験値が体に入ってくるんですよ 」
ほぇーーそんな仕組みが。
「換金いたしますか?その場合ここで冒険者登録をする必要がありますが 」
「はい、よろしくお願いします。」
カナリアさんは受付の机に置いてある石板を指差した
「それではここに手を置いてください 」
するとては青い光包まれる。
光は暖かく置いた腕全体が少し圧迫される。
血圧測るやつみたいだ。
数秒すると、ステータスが石板の上に出てきた。
アサヒ
職業:魔術師
レベル:10
体力:100
物理攻撃力: 101
魔法攻撃力:103
魔力:105
防御力:107
魔法防御力:113
知力:181
スキル:スライムへのダメージ増加III
特殊能力:不老不死
レベル上限なし
各種能力上限なし
物理の叡智
魔力の叡智
造形の達人
同じ種族を倒すと経験値増加
獲得経験値:583
次のレベルまで:12
「不老不死!生きてる間に出会えるなんて‼︎ 」
異世界とはいえ不老不死は珍しいようだ。
「ステータスも結構高いですね。知力が非常に高い、何かされていたんですか?」
知力181?この世界の知力の示し方はよく知らないから凄さは分からないけど。
IQだとしたらアインシュタインレベル⁉︎
「特には…...勉強が好きなので 」
流石に転生してきた元鉄道技師ですなんて言えない。
「勉強好きですか、魔術師の中には知力が高く新たな魔法を作る人もいるようなので、先生とか向いているかもですね 」
先生か、悪い気はしないがこの世界の学校ってどんなのだろう。
「それに、造形の達人!もしかしたら先ほどの鉱石もアサヒさんなら加工できるかもです 」
不老不死な造形の達人か、神様がこんな粋なことをしてくれるとは。
「早速換金いたしますね。ブラウ鉱石はどうなさいますか? 」
とりあえず今回は売って帰りにもう一度洞窟に寄ろう。
「まとめて換金でお願いします 」
受け取った銅貨を巾着に入れてバッグにしまう。
「アサヒさん!これからもよろしくお願いします 」
「はい、こちらこそ 」
転生したときに持っていた金貨を使って必要物資を購入した。
これで準備は大丈夫だろう。
帰る途中洞窟に寄りいくつかの鉱物を取って帰った。
よし!スローライフを満喫するぞーー!
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