異世界到着

 周りの光に包まれなんだか優しい気持ちになって目覚める。

 私がいたのは木々がそよめぐ森の中だった少し遠くには家が見える。林道を抜ける途中で、サァーと、暖かく心地よい風が私の頬を撫でる。

 辺り一面草の生い茂る平地だ、なんだか草のいい匂いもする。目の前に見える家に入ろうとすると、扉には「使いたい人は御自由にどうぞ 」と書いてある。

 直感的に思った、うん、私の家だな。

 誰もいないと分かっていてもなんとなく扉を数回ノックしてみる。

 まあ当然何も返ってこない。

 ノブに手をかけてみると太陽の光を受けていたからかほんのりと暖かい。

 ギィー

 扉が開く。

 前世では靴を脱いで家に入るのが常識だったのだが、今世では靴を履いたまま家に入るのが常識らしい......少し違和感があるが今はあまり気にしない。

 なんだか海外にいた頃を思い出す。

 数歩歩いて辺りを見渡す。

 正直独り身にしてはかなり大きい家だ。とりあえず目の前にあった全身鏡で今の自分の姿を確認する。

 「たしか、高校生くらいにって女神様は言ってた様な...... 」

 目の前にはオレンジバーミリオンの長髪をたなびかせた美少女が映っていた。

 誰だこの美少女!? 

 思わず頬を引っ張りこれが夢なのか確認した。引っ張っていた頬は赤く痛む......

 「間違いない、この美少女!私だ! 」

 正直凄い可愛いと自分でも思った。

 鏡に映る自分を少し眺めていると腰の左にショルダーバッグのようなものが付いているのが見えた。

「お!何が入っているのかな? 」

 バッグに手を伸ばしボタンを外すと中には何も入っていない、なんだよ〜!

 ワクワクした気持ちを返せと思っているとふと、いかにも高さうな机が目に入る。

 そこには、何枚かの金貨が入った巾着と鞘のついた短剣がご丁寧に置いてある。

 正直何もない状態だったらどうしようかと思っていた私にとってこの品々はとても心強かった。

 「ここにいても、何も分からないしとりあえず近くの村に行こう 」

 髪を軽く整え、先ほどの短剣と巾着をショルダーバッグにしまう。

 これから始まる私ののんびりライブに期待した胸を少し落ち着かせながら村へ向かう。

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