幸せはいつだって後ろ姿なのでした

ハッピーエンドが嫌いな私と、その思いを理解してくれる先輩の物語。

夕焼けが注いで血に染まったような部室で二人、卒業する先輩と私の最後の会話。
私はハッピーエンドが嫌いだと話し、先輩はその考えに理解を示してくれる。
どうしてハッピーエンドが嫌いなのか、幸せとは何か、彼女たちの抱える苦しみは何か。
彼女たちは、どのようなエンドを迎えるのか。

少女たちの内面を丹念な筆致で描いており、その苦しみがこちらにまで伝わる描写がお見事でした。
本作を読んで印象的なのは、ハッピーエンドが嫌いだと主張する私の考えに同意する先輩との関係です。
「幸せ」から見放された二人は、それが他人に存在することは分かっても、「幸せ」を信じることができなかったのではないでしょうか。
幸せでないという点で繋がり、理解し合う関係。「幸せ」の外側に置かれた関係こそが二人の居場所なのでした。

この二人が先輩後輩ではなく同級生であれば、卒業という断絶から逃れて二人で道を歩いて行けたかもしれません。
それも許されなかった現実が残念でなりませんでした。

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