第2話

 2022年11月8日 真っ暗闇の部屋に一筋の光が差し込んだ。

 今日も新たな一日が始まる。一見、希望に満ちた言葉に聞こえるが、私にとっては希望など一欠片もない悲劇的な言葉に聞こえる。

 私は窓から外の景色を眺めた。今日も雲一つない晴天である。だが私にとっては、まるで光すら届かない深淵のような景色に見えた。

 恐怖に似た感情が芽生えていた。昨日はいつも通り陰鬱な一日だった。また、あの憎い上司に頭を下げなければならないことに、ひどく狼狽していた。

 私は上司が視界に入るだけでも、吐き気を覚えるほど嫌いだ。上司は非常に封建的で、非効率的な働き方を強要してくる。少しでも前例のない行為をすると、昨日の私のように、近道行為だと怒られてしまう。

 大学時代の頃はもっと感情豊かだったような気がする。しかし最近では主に楽観的な感情が徐々にすり減ってしまっているように感じる。このまま、感情が無くなって、ロボットになってしまった方が楽なのかもしれない。

 今日も仕方なくスーツに着替え、溢れ出る悲観的な感情を抑えながら、会社へと歩みを進める。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

終わりの始まり @asahiru7

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ