題名は「最強で最高な二人」ですが、前半はやや疑わしいです。力というか力量を見れば。
言葉の話をします。「最強」は他人が客観的に認めないと成り立ちませんが、「最高」は時に当人がノリノリであれば口に出ることもあります。
そう、「最高」なのはバディを組む二人のノリの良さ。これが楽しいのなんの。もう、最高!
それで、物語は除霊を軸に進んでいきますが、人が老衰以外で命を落とすのは大変なことです。しかも事件となれば。霊として残る人が生前に体験した話、かといって、こっちにも都合があると迫る、存命の人間による主張。作者は人間心理の怖さ汚さを描くことに定評があります。現場は恐ろしいものばかりです。
人間心理の怖さ汚さが、最高な二人の掛け合いにより中和されていきます。語り口において読みやすいですし、現に作中世界で毒が中和されていきます。
もし不慮の事故で亡くなったらこの二人に、とは不謹慎な話ですが、この二人に真相を明かしてもらえるならいいかなと、ちょっと、思えてきます。最強なのか疑わしいので、ちょっと、ですが。
人間の心の毒に中和剤を添えて、安全に召し上がれます。
霊能力を持つ由貴とコウは幼馴染。
ある日、二人は偶然再会します。
霊視能力を利用して恐怖系動画を配信しているコウに誘われ、由貴は彼といっしょに霊能者として活動することになるのですが……
未練をのこした幽霊を霊能者バディが除霊していきます。
オカルトものですが、主人公の由貴とコウの会話が軽妙で怖い話が苦手な人でも楽しく読めると思います。
幽霊になるということは、この世に何らかの未練があるわけで、その未練が明らかになる過程のドラマが興味深く、心に残るものばかりで面白かったです。
BL小説もお得意な作者様なので、男性同士のバディの親密さの表現もピカイチ!
重くもなく軽すぎもしない描写量で、サクサク読み進められるのに読み応えも抜群でした。
カッコイイ男性たちが活躍するブロマンスがお好きな方におススメ☆
幽霊を見ることができ、その力を使って心霊動画サイトを運営するも、イマイチ胡散臭さが抜けない男、コウ。
幽霊を見ることができるけど、力を使いこなせない悩める青年由貴。
そんな二人は幼馴染み。一人では力をもて余していても、二人揃えば何かができるはず。というわけで、コウと由貴は協力して霊が起こす数々の事件を解決していきます。
成仏できない地縛霊に立ち向かったり、事故で命を落として死んだことに気づいていない幽霊を家族に会わせたりと、様々な事件が起こる本作。
中には辛い思いをして亡くなった人の重たい話もありますけど、由貴とコウの漫才のようなやり取りのおかげで、話の雰囲気が暗くなりすぎません。
幽霊祓いのお話って数多くありますけど、面白さを左右するのは主要登場人物のキャラクター。
タイトルでもある最強で最高な二人が、話を引っ張ってくれています。
人懐っこい性格で、人間とも幽霊とも仲良くやっていくコミュ力抜群のコウと、そんなコウにツッコミを入れながら話の舵取りをしてくれる由貴。
そんな凸凹霊能コンビの活躍を、楽しんでください。
幼い頃、天狗様より霊能力を授かった、幼なじみのコウと由貴。それ以来、二人はその力を使って大活躍……とは、なりませんでした。
それどころか大人になった由貴は、色々あって自殺未遂をしようとします。間一髪でそれを止めたのが、久しぶりに再会したコウでした。
最強で最高な二人というには、かなりマイナスからのスタート。しかしそれも当然です。この時まで、コウも由貴もそれぞれ一人でいたのですから。
それから由貴は、 コウと一緒に霊能力を使って様々な心霊現象に立ち向かうことになるのですが、その際の掛け合いが実に気持ちいい。
扱うのが心霊現象なだけあって、その背景には悲しかったりしっとりしたりするものも多いのですが、コミカルなやり取りが暗くなりがちな雰囲気を抑え、事件への意見や感想を語る姿が、どこかリアリティを持って考えさせられるものになる。
そんな二人の姿は、まさに相棒と呼ぶのにピッタリ。一人でいる時は自殺まで考えていた由貴だって、隣にコウがいればやっていける。そしてコウにとっても、由貴はかけがえのない大切な存在。
特に、最後まで読んで二人の行き着く先を見た時、より一層この最強で最高という言葉がしっくりきました。