神様、小学生になる。

風神 あらず

第1話

 私は神様。

前世は神様。

自分と似ている“あの人“と、死んだ人を迎えてた。

死後の世界で、楽しく暮らしてた。

私は、死んだ人をあの人の場所へ行きなさい。そうやって、指示する役目だった。

“あの人“は、面白い話や、楽しい歌を歌っていた。

“あの人“は、

「今の人々は執着に囚われて苦しんでる。だから、私がもう一度人間に生まれ変わって、できるだけ多くの人を幸せにしてくる。」

そう言って、人間界へ転生した。


 神様と言っても、違う。

神様は、人間が勝手に作った想像の登場人物。

神様に近い者。と、言った方がわかりやすいかもしれない。


 そう気づいたのが小学4年生のとき。

どこに“あの人“がいるのか、何をしているか分からないけど、人間として生きているのはわかっていた。

でも、ずっとそのことを、黙っていた。

人に言って良いのか、よく分からなかったから。


 小学5年生のとき。

“あの人“が何をしているかがわかった。

現在、シンガーソングライターとして活動している。

元気だったので安心した。

曲を聴くと、とてもあの子が歌っていた歌だ。あの子がよく言っていた言葉だ。と、思えた。

歌詞も、今の人間は執着に囚われている。執着を手放そう。そんな言葉にぴったりの歌詞だ。


 現在小学6年生。

やっと、母親に言うことができた。


 私ね、昔、こんなところにいたの。

絵を描いて、母に見せた。

母は、落ち着いた様子だった。信じてくれた。

とても嬉しい。


今は、自分が前世で見てきたものを、絵として描いている。

温かい麦茶を飲みながら。

あの子の役割は人々を幸せにすること。

そして、自分の役割は、あの子をいろんな人に教えてあげること。


          * * *

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神様、小学生になる。 風神 あらず @Alazu

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