本文 むすんでひらいて 曲/ルソー 詞/作詞者不詳
セツにとって、童謡唱歌は全ての始まりだった。
だから、だろうか。
「むーすーんで、ひーらーいーて」
「てーをーうってー、むーすんでー」
さらりとした風吹く高校からの帰り道。懐かしい歌を耳にし、ふと立ち止まってしまった。
歌が聞こえる方に視線を向けると、桜散る公園で幼い子供達が四人、元気良く歌いながら手遊びをしている。男女比はちょうど二対二。楽しそうに笑いながら、手を叩いたり手を高く掲げたりしていた。
そんな屈託のない様子を目にすると、幼い頃は無邪気だなと感心してしまう。大抵は中学、高校と上がっていくにつれ、だんだんと男女の垣根が出来、
――つくづく面倒だなあ、人間って。
先程の学校での出来事を思い出し、溜息を吐く。仲の良い友人は『彼一人』で良いと白けた目になってしまうのは、致し方ないだろう。
「まーたひらいてー、てーをーうって」
「そーのーてーを、うーえーにー」
だが、セツの重い心情など露知らず、将来大人になるはずの彼らは
しかし、何故また『むすんでひらいて』なのだろうか。
あれは、確かに幼稚園児や保育園児だと先生達に習う歌だろうが、大勢で長く遊ぶのには適していない気もする。特に園の外だ。もっと駆け回ったり、道具遊びをしたり、友人同士で手遊びをするものの方が好まれそうだ。
つらつら考えながらも、時間は進行していく。取り敢えず知っているフレーズを歌い終わるのを、
「むーすーんで、ひーらーいーて」
「てーをーうってー、むーすんでー」
終わるかと思ったところで、再び子供達は最初から歌い始めた。
馬鹿みたいに笑ってよく飽きないなと感嘆する。馬鹿馬鹿しいと切り捨て、また日が傾きかける帰路に就こうとした。
けれど。
――何か、気になるんだよね。
心なしか、体の内側が熱い。歌が流れ込んでくるたび、活力が湧いてくる錯覚さえ起こる。
家に向いていたはずの足は、己の意思に関係なく彼らに向いた。
童謡唱歌は、セツにとって魔の魅力に近い。無視することが出来ないのも当然なのかもしれなかった。
故に。
「こんにちは」
「――」
何はともあれ、まずは挨拶だ。にっこり笑って子供達に声をかける。
これでも、セツは高校では顔良し頭良し運動神経良しの超優良物件と目されている存在だ。
薄い色素の髪と瞳が神秘を呼び、学力は毎回学年一位。部活の剣道も全国大会優勝に導く
それこそ、男女問わずにきゃーきゃー
そんな非の打ち所がない高校生、それがセツ。害のない笑顔を作り、子供をたぶらかすくらい何てことは――。
「ぎゃーっ! ふしんしゃー!」
「……は?」
いきなり大声で叫び始めた子供達に、セツは一瞬呆気に取られる。
それが命取りだった。
「で、ででででたな、ゆうかいはん!」
「は? 誘拐?」
「おおおおおおおとこだ! やっぱりゆうかいはんはおとこなんだー!」
「みみみみみ、みんな、ここはあたしにまかせてにげなちゃ、……い! ああああたしはあとからいくわ!」
「そんなー! みーちゃあああああああん!」
「おとうさん、いってたのー! こういううすっぺらいえがおのひとは、けいかいするわたしたちのこと、あめとかチョコとかレアなおもちゃをあたえてかいじゅうしてから、くるまにゆうどうして、いきなり『ばかめ、ひっかかったな』とかひょうへんしてゆうかいするんだって!」
「おおおおおおれたち、さらわれて、みのしろきんもらったら、『ばかなやつらよ』『おまえたちはもうようずみだ』とかいわれて、あーんなことやこーんなことされちゃうんだー! わーん!」
――何だその設定っ。
あんまりな言い様に、反射的に真っ黒な空気で彼らを踏み付けた。
セツの圧力を肌で感じたのか、途端に子供達は涙目で震え始め、互いに抱き合ってへたり込む。威勢の良かった女の子も最初だけで、今はがたがたと一番震えていた。
しかし、納得がいかない。こんなにも神々しい笑みなのに、どこが薄っぺらいと言うのだろうか。年頃の女性や年上のお姉さんは、大抵この無邪気な笑みを見せれば一撃で倒れ伏すというのに。
やはり、この醸し出す大人の魅力は子供には分からないということだろう。子供とは実に面倒だ。
だが、このまま怯えられたままでも困る。不本意ではあるが、再びにっこりと無害アピールをしつつ微笑んだ。
「あのね? 僕は、怪しい者じゃないんだよ」
「ひいっ⁉」
「あ、あやしいのに、あやしくないって、ゆうかいはんのじょーとーしゅだんじゃん!」
「やっぱり、ゆうかいはんなのね!」
「……。ええとね? まず、僕が君達に話しかけたのは」
「……こ、こわいのー! えがおのむこうに、したなめずりしたあくまがみえるのー!」
「うわーん! ぼく、たべてもおいしくないよー!」
「このガキ……っ、……。……いや。あのね?」
「そそそそそのうさんくさいえがお、ああああああたしが、せ、せ、せいばいして……、……むりー! わーん!」
「みーちゃああああん! く、くそう! み、みみみみーちゃんはわたさないぞ! かかかかか、かえれ! おおおおおおおおじさん!」
「――ああっ?」
ぎろっと笑顔で鋭く
しかし、この
ごっと、真っ黒な影を盛大に背負いながら腕を組み、押し潰す様に見下ろした。むしろ潰れろと呪う。
「……君達さ。僕のどこが『おじさん』だって?」
「ひいっ!」
「どこからどう見ても顔も性格もイケメンな高校生でしょ? おじさんって何? ああん?」
「ひいいいいいいいい!」
「ね? お兄さんでしょ? お・に・い・さ・ん。……ほら。呼んでごらん?」
「は、はいいいいいいっ!」
「おおおおおおおおにいさんー! おおおおおにいさん!」
「だから、ころさないでなのー!」
「うわああああああん!」
びーびー悲鳴を上げる子供達の声が本気でうるさい。耳がきんきん貫かれて失聴になりそうだ。後で慰謝料を親に請求しよう。
だが、あらかじめ防音の結界を張っていたおかげで、誰もこの公園には足を踏み入れてこない。犯罪者として追われる心配もないのは素晴らしいと自画自賛する。
しかし、目の前の子供達には呆れしか出てこない。まともに会話が通じないのは苦行でしかなかった。
「はあ。……もう泣かないでよ。面倒だなあ」
「……おじ」
「ん?」
「………………おにいさん。どうかんがえても、せいかく、いけめんじゃない……」
ぎろっと笑顔で睨めば、きちんと「お兄さん」と男の子が言い直した。性格がイケメンじゃない、という部分は寛大な心で許すことにする。――子供達の心にブリザードでも吹き荒れていそうな色も見えた。本気で恐怖しているという証だ。少しは抑えないと、親友に見つかったら叱られる。
何故、ただ会話をするだけでこんなに労力を費やさなければならないのか。つくづく人間は面倒くさい。さっさと本題に入るに限る。
「僕ね、君達が歌っていた歌に興味あるんだよね」
「え?」
「……むすんで、のこと?」
女の子がきょとんとした目でセツを見上げて来る。その瞳には、きらっと好意が光った。
好きな歌だったのだろう。おかげで、セツへの警戒心が薄くなった。子供は本当にちょろい。
「そ。むすんでひらいて。さっきから、ずーっと馬鹿み……しつこ……何回も楽しそうに歌ってるから。君達も好きなのかなって」
「うん! そうだよ!」
「これ、おれたちの『えん』では、あさにまいにちうたうんだぞー!」
先程の恐怖とは打って変わっていっぱいの笑顔で叫ぶ子供達。泣こうが笑おうが結局うるさい。そういえばセツが子供の頃も、周りはみんな馬鹿みたいにうるさかった。子供のエネルギーは侮りがたし。
しかし、毎日。朝に。
別にそこまでおかしくはないが、流石に毎日、しかも朝に歌うとはその幼稚園だか保育園は
「毎日、朝に歌うんだ?」
「うん! そうなのー!」
「かみさまにね、うたうんだー!」
「神様?」
「そうよ! まいにち、おいのりしたあとに、このうたをうたうのよ!」
神に歌う歌。
この童謡唱歌はそんな内容だっただろうか。はて、と更に首を傾げまくって
「おーい。セツ!」
「――」
名を呼ばれ、ぱあっとセツの顔が明るく輝く。鏡を見なくてもるんるん気分が表情に現れるのが分かった。子供達が世にも恐ろしいものを見た様な顔をしているのが気に食わないが、やはり寛大な心で許す。
振り向けば、セツと同じ学ランを着た少年が手を振って歩いてくるところだった。夜空の様に深い黒髪に、綺麗な藍がかった瞳。セツの自慢で大好きな親友だ。
「サト! どうしたの!」
「どうしたのって、お前と帰り道一緒なんだからこの道通るに決まってるだろ」
「そうだけど! 今日はあのうるさいクラスメートと一緒に遊ぶんだと思った」
「お前が笑顔で帰ったのに、そんな気分になれるわけないだろ」
疲れた様に溜息を吐かれ、セツはにまにまと口角が上がってしまう。
笑顔を強調するあたり、彼にはセツが不機嫌だったことが正しく伝わった様だ。クラスメートは気付かないだろうに、彼は本当にセツの笑顔を読むのが上手い。
「それで? この子達と何してたんだ?」
「童謡唱歌のことを聞いてたんだよ!」
「……へえ!」
そうなんだ、と彼の顔が柔らかく緩む。彼にとって大好きな歌を子供達が歌っていると知れば、それは興味を惹かれるだろう。
だが、この子供達は、彼のお人好しな性格では到底補いきれないほどのくそ生意気な妄想ガキ集団だ。
いくら子供や見知らぬ人には物腰が柔らかな彼でも、子供達とふわふわほにゃほにゃの表情のままで会話など、ろくに出来は――。
「こんにちは。俺、サトって言うんだ。君達は?」
「こんにちはー!」
「おれ、まさしー!」
「わたしは、るりなのー!」
――何でだよっ!
目線を合わせるためにしゃがみ込んで話しかける彼に、子供達はまるで危機感を覚えずに笑顔で元気良く自己紹介をし始めた。ありえない。セツと彼で何がこんなにも違うのだろうか。
ぶつぶつと心の中と表情だけで文句を垂れ流していると、まさしと自己紹介した男の子が、こそっとサトに近寄った。
「なあなあ。おにいちゃん、あのこわい人としりあい?」
「だいじょうぶ? だまされてないかしら?」
「ゆうかいはんかもしれないのー」
――このガキども、マジでしめる。
ごうっと背後から真っ黒な炎を背負ってやれば、子供達がわーんと涙目で彼に隠れる。寄りによって、彼を盾にするとは何事か。
しかも何故彼には友好的なのか。納得いかない。
そんなセツに対して、彼はある程度状況を悟ったのだろう。白い目で溜息を吐き、子供達の頭を撫でる。
「セツ……お前、子供達のこと脅したのか?」
「脅してないっ。ただ挨拶しただけなのに、不審者扱いされたんだよ! 誘拐犯だって!」
「なるほど。表面だけのエセ優男風笑顔を、純真な子供達が正しく読み取ったわけだ」
失礼だ。
この親友は、セツに対してずかずか遠慮なく物を言う。むしろ
ぷんっと唇を尖らせて
「大丈夫。彼はね、俺の一番の友達だから。恐くないよ」
「えーっ⁉」
「こ、こんなこわくてまおうみたいな人が⁉」
「えほんにかいてあった、せかいをのっとる、あくまみたいだったよ!」
「うーん……確かに悪魔みたいに見えてもおかしくはないけど」
「ちょっとサト?」
「でも、大丈夫。彼はね……」
「……もしかして、おにいちゃんって、まおうにさらわれたおひめさま?」
「だから、まおうにせんのうされてるの?」
「……。……取り
今、「くそガキ」って単語を飲み込んだな。
彼のとても輝かしい満面の笑顔を見つめ、セツはやれやれと肩を
彼の顔立ちは別に女性的ではないから女には見えないのだが、どことなく中性的に映るらしい。セツが普段王子様扱いされているせいで、いつも隣にいる彼は姫扱いされることがある。――そんな時の彼には、間違っても近付いてはいけない。
一度、からかって「姫ひーめー」と騒いだ数人が、笑顔で物陰に連れ込まれていった後、一ヵ月ほど彼を見ては怯えて一目散に逃げだすという現象が続いた。
故に、誰も表立って「姫」と口にはしなくなった。扱いが姫になることがあるだけで。
閑話休題。
そんな彼は、取り敢えず怒りを飲み込んだ様だ。笑顔は崩さないまま、子供達の頭を撫でる。
「確かに彼は恐いところもあるかもしれない。それに、いきなり知らない人に声をかけられたら不審者と思えって、きっとお父さんかお母さんに言われているんだよね?」
「うん! そうよ!」
「ぼうはんべるもあるぞ!」
「うん、偉いな。……でもね。相手が本当に不審者じゃなかったらどうかな。違うのに不審者だって決め付けられたら、傷付くかもしれないよね」
「え……」
「もし君達が、何も悪いことをしていないのに、友達に『お前、悪いんだー』『お前がやったんだろー』『いけないんだー』『近づくなー』とか言われたら、どう思う?」
「う……」
「……かなしいのー……」
彼の言葉に、子供達は服の
こういう部分は流石は彼だと感嘆する。セツだとこうはいかない。ただ怒って支配するだけだ。
「君達の取った行動は、親の教えを守って偉いと思うよ。必要だとも思う。……でも、もしそういう悪い人じゃないって分かったら、どうしたら良いかな? 傷付けたかもしれないと思ったら、どうしようか?」
「……うー」
「……ごめんなさい、する」
「うん。よく出来ました。じゃあ、みんなで一緒に謝ろうか」
ほら、と彼が軽く子供達の背中を押すと、おずおずといった風にセツの前に並んでくる。
そして。
「ごめんなさーい」
「ふしんしゃっていって、わるかったよ」
「むすんで、すきっていったのー。ごめんなさいなのー」
「わるかったわ。……ごめんなさい」
次々に頭を下げる子供達に、単純だなと呆れもする。
だが、同時に素直だなと感心もした。こうして、相手の言葉を考えて想像して自分の非を認めるというのは、とても大事な行為だ。
それが出来ない人達も多い中で、こういう子供達は貴重な存在なのかもしれない。子供達の頭を「よく頑張ったね」と優しく頭を撫でるサトも含め、悪くないと思う。
「良いよ。僕も、ちょっとだけ恐がらせたからね。ごめん」
「もういいよー!」
「むすんでなかまなのー!」
「うん。セツもよく謝ったな。普段全然謝らないのに偉い偉い」
「……一言余計」
ぽんぽんと肩を叩く彼に、ぷくっと膨れると笑われた。彼は本当に、無礼である。
「でも、むすんで仲間ってなんだ?」
「ああ、それは――」
「セツは、むすんで、すきなんだってさ!」
「うたがすきなのー!」
「だから、こえをかけたっていってたわ」
「むすんで、うた……、ああ。もしかして『むすんでひらいて』のことか」
なるほどね、と
元々童謡唱歌が好きなのは彼の方だ。セツは後からそれを知って気に入っただけだから、筋金入りは彼の方である。
「むーすーんで、ひーらーいーて」
「! てーをーうって、むーすんでー」
サトが両手を握り、弾んだ声で歌い始める。
子供達はそれを目にして、破顔しながら一緒に歌い始めた。
子供達に混じって手を打ち、両手を上に掲げて歌う彼は、何故か違和感が無い。セツならば違和感ありまくりで、通りすがりの主婦やビジネスマンから「何あいつ」「見たら駄目よ」と影口を叩かれそうだ。――何故想像するだけでも、こんなに反応の格差が広がるのか。解せぬ。
「むーすーんで、ひーらーいーて」
「てーをーうって、むーすんでー」
何度か繰り返し歌いながら、彼がぎゅっと軽く回して両手を握る。
それで、子供達もぴたりと止まるのだから不思議だ。彼は保育士さんにでもなれば良い。
「俺もこの歌が好きなんだ。みんなは先生に教えてもらったのか?」
「うん!」
「えんで、まいにちおいのりしてからうたうのー!」
「かみさまにささげたら、かみさまがよろこんでくれるんだって!」
「だから、まいにちうたうんだぞ!」
「――。……そっか」
セツにした時と同じ説明をする子供達に、彼は一瞬驚いた様に目を見開いた。
だが、すぐに納得したのか、目を細めて頷く。
セツにはわからないことを、彼は知っているのだろうか。この童謡唱歌が神様に捧げる歌だというのは本当か。
ぐるぐる疑問を持って彼を視線で刺し貫くが、彼は平然と無視して子供達に笑いかけた。
「君達の先生は、神様が大好きなんだね」
「うん! キリストきょうだから!」
「おれたちのえんは、キリストきょうなんだぞ!」
「そっか。じゃあ、きっと毎日お祈りと歌を聞いている神様も、良い子の君達をにこにこしながら見守ってくれているだろうな」
「そうかしら!」
「だといいなー!」
はにかみながら喜ぶ子供達に、彼も嬉しそうに笑ってから立ち上がる。
「みんな、教えてくれてありがとう。……俺達はそろそろ家に帰らないとだから。君達も、暗くなる前に帰るんだよ」
「はーい!」
「ふたりとも、またなー!」
「また、いっしょにうたってなのー!」
「やくそくよ!」
「ああ。またな」
「仕方がないから、また遊んであげるよ」
すっかり彼に骨抜きにされた子供達は、セツ達の姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。実に元気で羨ましいことだ。
日が傾き始めた夕暮れ時。黄金色に街を満たしていく背中から。
子供達の『むすんでひらいて』が、弾みながら夕日の中へと吸い込まれていった。
セツ達が歩む横で、車がひっきりなしに道路を走り抜けていく。
ファミレスや喫茶店では、学校や仕事帰りの者達の姿も窓越しにちらほら見かけ始めた。居酒屋も元気に看板を輝かせて客を引き込み始めている。
日も傾き始めているというのに、街中はひどく賑やかだ。一日はこれからと言わんばかりに、昼間とは別の活気に取って代わっていく。
人間として暮らし始めて十六年目。セツは未だに人間というものがよく分からない。
「セツ。そういえば、今日家に来るか? 父さんと母さんが、夕飯一緒にどうかって」
「え! 行く行く! とうぜーん! 今日は両親どっちもいないから、ごはん何にしようかなーって悩んでたんだよねー」
「だろうな。二人とも、お前の両親に頼まれたって言ってた」
そして、笑顔で快諾したのだろう。セツの親友はちょっと黒くて意地の悪い部分もあるが、お人好しだ。そして彼の両親は輪をかけてお人好しなのである。
家が隣同士のせいか、幼い頃から家族ぐるみの付き合いだ。そして、互いに両親が仕事で忙しい時は、どちらかの家にお世話になるという状態が続いている。
そう考えると、セツの両親も究極のお人好しなのか。
サトの両親との違いと言えば、母が割と残念な部分だろうか。サトが家に来る時は、いつも以上に母は張り切って料理をし、爆発と轟音で台所を滅茶苦茶にする。そして父が片付けをしてご馳走を作るまでが一連の流れだ。
普通に作れば母もまともな料理を仕上げられるはずなのに、何故張り切ると爆発して破裂して轟音と黒煙を生み出すのだろう。やはり人間は理解出来ない。
理解出来ないと言えば。
「ねえねえ。そういえばさ、さっき、子供達が神様に捧げる歌だって言ってたじゃない?」
「ん? ああ、『むすんでひらいて』のことか?」
「そ。あの童謡唱歌って、別に、神様ー神様ー、最高ー、讃えよーって感じじゃないよね。何で?」
子供達の説明になっていない説明を耳にした時、サトは驚きはしても納得した様な横顔を見せていた。つまり、そういう意味が含まれているということになる。
セツの疑問に彼は、んー、と少し考え込む様に斜め上を見上げてから口を開いた。
「あの子供達、多分近くのキリスト教の幼稚園に通っているんだと思うけど。あの歌を讃美歌代わりに歌っているんじゃないかな」
「讃美歌? だから、神様に捧げる歌?」
「そう。元々、『むすんでひらいて』は日本に入ってきた時は、讃美歌だったからな」
「っへー!」
それは初耳だ。
元々『日本の記憶』はセツの頭の中に入ってはいるが、それは入っているというだけだ。アウトプットして活用しなければ、ただの物言わぬ辞書でしかない。セツがその気になって探り当てなければ、詳しい解説は頭の中に眠ったままセツには伝わらないのだ。
しかし、童謡唱歌が讃美歌。面白い設定だなと興味を惹かれる。
「でも、歌詞の内容は別に神を讃えたりはしていないよね?」
「まあな。今の歌になるまでに、二転三転しているし」
「そんなに?」
「ああ。それに讃美歌になる前の、元になったとされるのはオペラなんだぞ」
「オペラ……。へえ。元々格調高い感じだったんだねー」
今の歌を聞いていると、とてもではないがそこまで格式の高い音楽には思えない。
だが、その元となっている曲はそれほどまでに品のある歌だったのか。どういう変遷で今のものになったのか。
「じゃあ、オペラ? から讃美歌が発生したの?」
「まあ、その間にも色々あったみたいだけど。イギリスで讃美歌として改編されて、それが日本に入って来たらしい。アメリカとかでも民謡になっていたらしいけど、イギリスの讃美歌の方は、まさに今の『むすんでひらいて』と同じメロディだったんだってさ」
「……。想像出来ない」
「ちなみに、現代でも海外では普通に讃美歌として定着していた」
「想像出来ない!」
「出来なくても事実だよ。実際、讃美歌としての内容は神を讃える歌なんだ」
ばっさりと切り捨てられたが、セツとしてはやはり想像が付かない。讃美歌の歌詞が、あの
「日本では、讃美歌を日本の詩に置き換えたり、その後改編されたりしていたみたいだけど。今……この世界に伝わっているのは、第二次世界大戦後に教科書に載った『むすんでひらいて』という曲名と歌詞なんだ」
「ふーん……」
一つの歌にこれほどまでの歴史が込められているとは。彼が好きな歌には面白みがある。歴史を背負っているところもそうだが、広まっている歌詞からは考えられない様な事実が出てくる瞬間が最高だ。
やはり、『あの時』彼を誘って正解だった。セツの勘は正しかった。
「でもさ。キリスト教の幼稚園だっていうなら、讃美歌の方を素直に歌えば良いんじゃないの? だって、同じメロディなんでしょ?」
「んー。あくまで想像だけど、先生としては子供達に楽しみながら歌って欲しいんじゃないか? いきなり讃美歌だと訳が分からなさそうだし、難しいって思われそうだけど、『むすんでひらいて』だったら簡単だし、遊べるだろ。その方が、キリスト教にも興味を持ってもらえるとも思ったかもしれないしな」
「あー……なるほどねー」
それは、果たして打算なのか、純粋な好意なのか。
真実は、先生や園長のみが知るといったところだろう。近くの幼稚園を今度調べてみようかと心に決める。
「……まあ。だったら、この北海道はその幼稚園で歌が歌われ続ける限り、神の加護が少し強くなるかもね。僕自身、あの曲を直接聞いたら体に活力が
「そうか。……新潟では、『みかんの花咲く丘』が盛んに歌われる様になっているみたいだぞ」
「じゃあ、数年は新潟がみかんの豊作の地となるだろうね。僕が把握していなくても、歌がその土地に染み込むなら効果は出るから」
「……、そうか」
短く相槌を打って、サトが前を向く。彼の苦笑する様な、切ない様な笑みに、セツも何となく空気につられて前を向いた。
この世界の仕組みは、童謡唱歌が色濃く根付いている。歌が広まれば広まるほど、その土地には流行っている歌の特色が花咲くのだ。
何故、そんな仕組みになっているのか。
それは、創造神であるセツが作った、小さな小さな
この世界は、本当に小さい。どれだけ小さいかというと、海以外は日本ほどの面積しかない。海原へ漕ぎ出して冒険をするのは勝手だが、行けども行けども大海ばかりで、一周すればまたこの日本に似て非なる大陸に戻ってくる。
何故そんな世界になっているかというと、セツがたまたま目撃した日本という国に眠る記憶を吸い取って、それを集結して作ったからだ。構成に矛盾や不都合が生じる記憶は事前に統合するなり消去してあるので、この世界に住む人間には違和感も生まれない。
故に、日本に北海道だの新潟だのという地名があるのは、そういう風に住み分けされていた最新の記憶があるから勝手に再生されただけの話である。江戸時代あたりが最新だったら、それを元にこの世界は作られていただろう。ただそれだけの話だ。
どうして、そんな七面倒な真似をしてまで日本を元にしたのか。
理由は簡単だ。
地球に
日本の最後の生き残りであった彼を、
「……新潟がみかんか。やっぱり違和感あるな」
「元々は和歌山とか他の県だったんだっけ? 特産地」
「ああ。……まあ、ここが日本じゃないっていうのは分かっているんだけど。日本みたいだから違和感が酷い」
「あはは。まあ、そこは諦めてよ」
軽く笑い飛ばすと、サトも諦めた様におかしそうに笑っていた。――もしかしたら、本当は
今から二百年も前のことだろうか。地球が西暦二千数十年を迎えたくらいだった頃。
様々な世界を管理する神々の間では、世界が一つ消えるという情報が飛び交い、それなりに騒がれたことがあったのだ。
それが、地球。もう助からないと地球神が
見物がてらに地球に行った時、既に世界は滅亡していた。
ぱらぱらと生き残りはいたみたいだが、地球神でもないセツにとってはどうでも良いから無視をした。
大地は崩れ、空は割れ、海には穴が開き、空気は毒素となり、あらゆる動植物が息絶えた無残な光景は、とてもではないが生物が住める場所では無くなっていた。
滅亡した世界ってこんなんなのかと浮遊しながら見物していると、不意に歌声が聞こえてきたのだ。
それが、童謡唱歌。
毎日毎日飽きることなく歌い続けていた、サトの声。
枯れ果てて滅びゆく世界に似つかわしくない、美しい風景を歌ったその音楽に、セツは気まぐれに近寄った。
切なかったり明るかったり、時には勇ましささえ覚えるその歌は、本当に一日中続いたのだ。それこそ声が枯れ、命尽きるその時まで。
魂になった彼に理由を尋ねてみたけれど、答えを聞いてもピンとはこなくて。
だから、答え探しも兼ねて実験をしてみることにしたのだ。
曖昧に植え付けた神話というものが、百年、二百年、それこそ何千年と経っても廃れず
神話が消えれば、世界も消える。そんな世界にした。
この実験自体は、神話が続くかどうかという問い意外に意味は無い。ただ、童謡唱歌が重要だったから、これ自体を神話にしただけだ。
世界で最初に作った人間達に、一応童謡唱歌の種類によって、その土地が変化することは教えた。童謡唱歌が忘れ去られていけば、大地は枯れ、空は消え、海は割れ、緑は無くなっていくとも警告はしておいた。
最初の頃は忠実に童謡唱歌を中心に音楽は根付いていったが、元々日本の記憶が植え込まれているのだ。音楽にはポップスやジャズ、クラシックにロックなど多種多様なものが満ち溢れている。
故に、二百年経過した今では、童謡唱歌は
土地ごとで作物の収穫量や酒類、自然の豊かさなどに格差が出ている状態となっている。
世界が滅亡すればそれまで。答えが分からなければ、また別の方法で探ろうと思っている。
だが、彼にはこの日本に酷似する世界で生きるのは酷だっただろうか。今更ながらに思う。
「サト」
「何だ?」
「僕といて後悔はない?」
「――」
一瞬絶句した様に彼がセツを見つめてくる。何を言い出したんだと叱り付ける様な表情に、セツはらしくないなと前を向いて彼の視線から逃げた。
彼には、この世界を作る時にセツの従者にならないかと持ち掛けたのだ。童謡唱歌というものに興味を持ったから、それを歌ったり教えたりしながら世界を一緒に見守ってくれないかと。
彼は、突拍子もない話なのに、静かに頷いた。
その日から、彼は人ではなくなり、セツという神の従者として死という概念が無い存在となっている。
「……俺は、後悔したことは一度も無い」
「そう。なら良かった」
刺す様な低い声に、セツは気付かないふりをして笑う。何かを言いたげにしていたが、言葉にはしてこなかった。
セツは神の立場ではあるが、現在は人間の両親の元で高校生をやっている。
人の営みを見ている内に、その輪に入ってみるのも一興だと思って赤ん坊から生きてみているのだ。人としての営みを終えれば、また神に戻るだけ。
サトのことも誘って、隣同士の幼馴染になる様に調整もした。
その時、彼には提案してみたのだ。「このまま、記憶を忘れて人の
けれど。
〝お前がいる限り、俺はお前の傍にいる〟
強い口調で断言された。そういえば、あの時もこんな風に怒っていた気がする。あまりに物騒な鋭い視線に、ふるっと悪寒さえ覚えたものだ。
人間の形を模して人間の戯れをしているが、相変わらず心の機微にセツは
しばらく無言で帰り道を歩く。車が通り過ぎる音に人々の笑い声だけが響き渡り、セツ達の間には何も音が跳ね返らない。流石にこれはセツでも居心地が悪い。
謝るべきなのだろうかと、やはりらしくない葛藤を抱いていると。
「……むすんでひらいて、っていうのはさ」
ぽつり、と水面に雫が落ちる様にサトが口を開く。
「むすんではその名の通り、目の前の人と縁を結んで。ひらいて、っていうのは、少しずつ相手に心を開いていく。そういう意味じゃないのかな」
「……、え」
「時には喧嘩したりぶつかったりしながら、それでもまた更に絆を強く結んでいく。そんな歌だと俺は思うんだ」
淡々と語るその口調に熱は無い。
だが、奥深くには抱えきれないほどの想いが眠っている気がして、知らず耳を傾けてしまった。
「……。……それは、サトの独自の解釈?」
「そうだ。……縁を結んでいけば、その結んだ先でまた誰かと
「――……」
誰かと手を繋いで、一緒に歩いていく。
子供向けの歌詞を真剣に嚙み砕くあたり、流石はセツの親友だと感嘆する。聞いているだけなら、単純に明るくて楽しくて無邪気に遊んで笑う子供達にピッタリの歌なのに。
彼は言うのか。人と人とを繋ぐ歌だと。
それこそ、人ではない神様のセツとも繋がるための歌なんじゃないかと。
人ではない存在。人を超越したもの。それこそ崇め奉られ、同じ位置には立てないと神聖視される神。
けれど。
「……あーあ」
思わずぼやきが漏れ出る。彼は本当にセツを神様扱いしてくれない。少しは敬ったり下手に出たりしてくれないと、威厳が全く保てないというのに。
だが、それでも。
「……サト」
「何だよ」
「慰め方、下手くそ」
「……悪かったな!」
がなる彼に、けらけらと腹を抱える。
ああ、これだ。だから、セツは彼と親友でいたいと願うのだ。
何の垣根もなく、屈託なく笑い合える存在がいる今が心地良い。ふよふよ一人で、いくつかある世界を管理していた頃では考えられない
しかし、それで良い。今が楽しければ、例え誰に何と言われようと構わないのだから。
「……セツだって、感情を隠すのが下手だろ」
「えー? どこがさ!」
「お前が帰ってから。ミカとサリ、お互いに謝ってたぞ」
「……」
本日一人でさっさと学校から帰る羽目になった元凶を突きつけられ、セツは思わず口をへの字に曲げる。思い出したくなかったのにと無言で抗議するが、彼はどこ吹く風。平然と続けた。
「お前を巡って『今日はここ行くわよ!』『あっちです!』って引っ張り合いし過ぎたこと、大人気なかったとさ」
「ふん。最初からそうしてよ。良い迷惑だし。僕、遊びに行くって言ってないし」
「お前が怒ってたのは分からなかったみたいだけどな。……恋のライバルではあっても、大事な親友なんだから。その辺りはきちんとしてるぞ。お前が思っている以上にな」
見守る様な眼差しが、セツにはいまいち理解出来ない。
そう。帰る元凶になった女子二人は、セツを巡って毎日バトルをしている。放課後に遊びに行く場所はもちろん、内容でさえ、いちいちセツに似合うのはこっちだ、いやあっちだと、好き勝手に主張してぎゃーぎゃー
だが、彼は毎回言うのだ。
「……仲良い友人が、自分のせいで喧嘩するの。お前、いっつも
セツにとって、その騒がしい女子二人は、それなりに仲の良い友人なのだと。
本当に理解不能だ。セツは毎日彼女達の言動に食傷しているというのに。一日一回は「好きよ!」「付き合って下さい!」と告白してくるし、放課後だの休日だのには毎回遊びに誘ってくる。
玉砕しても
「僕がいつ、彼女達を友と認めたの?」
「え。小学校の時じゃないか?」
「そんなに前⁉ 何でさ!」
「だってお前、彼女達が風邪引いて休んだ日は、物足りなさそうにしてるじゃないか」
「そんなことないよ!」
「休日に珍しく誘われなかった日とか、俺の家でぶーたれて寝転がっていたし」
「気のせい! サトの目が腐ってるんだよ!」
「他のクラスメートと違って、頭とか顔とか運動だけが目当てで寄ってきた奴らじゃないから。告白も堂々としているから。……神様は、ある程度人の心が透けて見えて大変だよな?」
にっこり笑って爆弾を放り込んでくる親友に、セツもにっこり笑顔で対応する。
だが、心の中では完全なる敗北気分だ。彼の言うことは正しい。
神であるセツは、完全とまではいかなくとも、ある程度人の心が読めてしまう。
言葉が聞こえてくるわけではない。
しかし、心の色が透けて見えるのだ。黒だと憎悪や殺意、黄色だと屈託ない友好など、色を通して大体考えていることが伝わってくる。
顔良し頭良し運動良しの文句なしなセツは、昔から羨望と嫉妬をたらふく受ける羽目に陥った。恐らくサトがいなければ、セツは人間に失望して世界を潰していたかもしれない。
だが――。
「……。……別に、友達だとは思ってないよ」
「あの二人にとっては、あれがじゃれ合いみたいなものだから。言い合いも本気じゃないし」
「……。知ってるけど」
「あれもコミュニケーションの一つなんだ。……いつか、お前にも分かる時が来るさ」
だから、淋しがる必要はない。
ぽんぽんと背中を叩く彼に、セツは
どうして、彼は勝手にセツの心を代弁するのだろう。どうして、彼は好きな様にセツの友を認定するのだろう。どうして、セツが淋しがっていると断言するのだろう。
どうして、彼の言葉にどうしようもなく安堵する自分がいるのだろう。
本当は、知っている。彼女達が本気で喧嘩をしていないことも。言い合いを楽しんでいることも。それに、セツがサトと二人で遊びたい時や用事がある時などは、笑顔で優先してくれていることも。
心の色を見れば一目瞭然だ。分かっている。
だが、それでも思うのだ。今はそうでも、未来はそうではないと。
いつか、彼女達は本気でセツのせいで喧嘩をする日が来るのではないかと。
そうなったら、この四人の関係が崩れてしまうのではないかと。
それが恐くて、目を逸らして、時々無性に逃げたくなる。ちょうど今日がその日だった。
だから、さっさと一人で帰った。
だから、サトが追いかけてきた。
悔しいが、彼とはもう二百年以上連れ添っている。心を読まれるのは仕方がない。きっと、彼はどうしてセツがそういう風に逃げたくなるのかも気付いているのだろう。
「……はあ。サトは本当に厄介だなあ」
「そんな俺を従者にしたお前が悪い」
「だよねー」
「だから、観念して今日は一緒に歌って帰るぞ」
何でそうなるんだ。
いきなりのお誘いにセツは白目で見つめるのに、彼は何ら気にしない。むしろ楽しそうに笑って口ずさみ始める。
「むーすーんで、ひーらーいーて」
手を打って、手を握る。
高校生にもなって、年甲斐もなく手遊びをしながら道を歩くこの構図。現に、ちらほらと
「まーたひらいてー、てーをーうって」
だが、彼の楽しそうな顔を見ていたら、どうでも良くなった。セツも、無意識に手を上へと伸ばす。
「そーのーてーを、うーえーにー」
セツが参加すると、彼はまた嬉しそうに笑う。
彼と歌っていると、心に溜まっていたもやもやが消えていく。
ああ、不思議だ。
「むーすーんで、ひーらーいーて」
「てーをーうって、むーすんでー」
拳を握って、開いて。
手を打って、また結んで。
そうしている内に少しずつ、
彼と一緒に歌って、手を動かしていると不思議だ。理由は分からないのに、前向きになれる。
人間は本当に面倒くさい。関係性も面倒過ぎる。
けれど――。
「サト」
「うん?」
「明日もまた、一緒に歌いたいな」
「……もちろん」
当たり前の様に笑って頷いてくれる彼を見て、やはりセツの選択は全て間違っていなかったと。夜が咲き始める向こうに光を感じながら、家路に
④この世界はかく語りき――童謡唱歌は世界を演じる 和泉ユウキ @yukiferia
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