④この世界はかく語りき――童謡唱歌は世界を演じる

和泉ユウキ

プロット

【タイトル】

 この世界はかく語りき――童謡唱歌は世界を演じる


【参考作品】

 特になし。


【童謡唱歌について】

 曲、歌詞共に掲載するのは著作権が切れたもののみ。

 タイトルだけは、著作権が切れていなくても掲載する場合あり。


【世界観】

 地球を創った神が地球を見放し、滅びたあとの話。


 日本の形をした、日本に似て非なる小さな小さな世界が舞台。通称『名もなき世界』。

 都道府県や地名、山地などの名称は全て日本と同じだが、その地方地方の人々が歌う童謡唱歌によって、その地方の気候や特産物などが変わるという特殊な性質を備えている。

 文明レベルは、主人公の一人である日本人、サトが死んだ時代の日本(二十一世紀前半)と同じなので、現代にとてもよく似ている。

 ちなみに宇宙にはいくつもの世界があり、それぞれに創造神がいる。神は防音の膜を出せるなど、魔法の様な特殊能力を持っている。


 物語は、神であるセツと人間であるサトの出会いから始まり、セツが人としての生を学ぶために己を人間の体に作り変え、二人で人の営みを学んでいる話となる。



【主要人物】

■セツ

「ねえ、君。僕と一緒に童謡唱歌を歌いながら、世界の一生を見守ってくれないかな」


・性別:男

・年齢:人間になってからは16歳(神としての年齢は数えていないので覚えていない)

・一人称:僕

・二人称:君

・特徴:色素の薄い髪と瞳、感情の起伏に乏しく何事にも興味が薄い方だが、サトや童謡唱歌に関することだとかなり豊かになる


・人物設定

 創造神。地球を創った創造神とは別の神。

 神に見放された地球が滅びゆく中、最後まで生き残ったサトの童謡唱歌に惹かれ、彼が死ぬまで見守っていた。

 時には切なく、時には勇ましく。

 何故、サトが命尽きる最後まで童謡唱歌を歌っていたのかという答えを聞いてもピンとこなかったため、実験のために日本の記憶を再現して世界を創り、人類も創造した。

 現在、己も人としての生を実体験するため、赤ん坊から一つの家庭にもぐり込み、人と同じ様に体を成長させて学生生活を過ごしている。場所は北海道のとある市。

 人の感情の機微に鈍感で、サトと出会った頃はよく彼を怒らせてはその理由を聞き、また怒らせるという悪循環によく陥っていた。現在は少しだけ感情というものを理解した模様。



■サト

「むすんではその名の通り、目の前の人と縁を結んで。ひらいて、っていうのは、少しずつ相手に心を開いていく。そういう意味じゃないのかな」


・性別:男

・年齢:再び人になってからは16歳(前世の享年は19歳)

・一人称:俺

・二人称:お前、君(大体はこちら)

・特徴:黒髪黒曜石の瞳、口では色々言いながら面倒見が良い(前世で兄であったため)


・人物設定

 地球が滅んでいく中で、日本で最後の生き残りとなった人間。

 目の前で静かに息を引き取っていく家族を一人一人見送り、最後の最後まで童謡唱歌を歌い続けて己も息絶えた。

 死んだ後に魂の状態でセツと出会い、彼に拾い上げてもらって彼の助手の様な存在となった。

 現在は、セツの人としての営みを共に経験するため、幼馴染として人間社会に紛れ込んでいる。



【物語構成】

 プロローグ+五章構成。

 話の内容は続いてはいるが、連作の様な形を取る。


■プロローグ

 セツとサトの出会いの一部。

 地球神に見放され、滅びの一途を辿っている地球が舞台。

 大地は崩れ、空は割れ、海には穴が開き、空気は毒素となり、あらゆる動植物が息絶えた無残な光景は、とてもではないが生物が住める場所では無くなっており、いずれ全ての人類も動植物も息絶えることが決定していた。

 その中で、一人いつまでも様々な童謡唱歌を歌い続けるサトにセツが目を付ける。

 サトの声に、その歌の内容に興味を引かれたセツが、息を引き取って魂となった直後の彼に、「従者にならないか」と声をかける場面で終わる。


■第一章 むすんでひらいて

 人として転生し、17歳の高校二年生となった二人の話。

 学校からの帰り道にセツが、公園で遊ぶキリスト教の幼稚園児の童謡唱歌を聞いて興味を惹かれる場面から始まる。

 子供達には怪しい誘拐犯として認識されてすったもんだを広げるが、途中でサトも加勢して何とかコミュニケーションを図って別れる。

 むすんでひらいて、が広まったことで、神であるセツに力が入りやすくなっていることが分かる話。


■第二章 赤とんぼ

 学校生活での話。

 二人の数少ない幼馴染兼友人のミカとサリが登場する。

 他愛のない話をしながら、ミカとサリがセツにラブコールをしつつも何だかんだ四人が仲良く学生生活を送っていることに終始する。

 後半にミカが弟とのことに悩んでいる話が出てきて、サトが流れ的に相談相手となってタイトルの歌を歌うことになる。


■第三章 さくら

 年中さくらが咲いている地方に旅行をしに行くセツとサトの話。北海道内部。

 名もなき世界では、日本と違い年中さくらが咲く場所があっても不思議ではないが、サトは日本の感覚がまだ残っているため、違和感を抱く話。

 セツがサトに正式に人に戻りたいかと聞いたために彼を怒らせ、一時期気まずいままの旅行となる。

 最終的には仲直り。


■第四章 われは海の子

 警察が特に強いと謳われる地方に、セツが直接足を運ぶ話。

 様子を見守りにきたセツの目の前に広がるのは、確かに警察官が己が住んでいる市よりも優秀で、犯罪者に容赦がない正義を貫く者達だった。

 正義感が強いことは構わないが、何故ここまで違いがあるのかとセツが疑問に感じている時に、子供達が歌うタイトルの唱歌を聞く。

 最終的に電話でサトに歌の意味を聞いて(軍歌の気質もあったことを含め)、納得する話。


■終章 故郷(ふるさと)

 セツが最初にサトを見かけた時に、彼が歌っていた歌がタイトル。

 プロローグの一部を取り込んだ、地球が滅びた時の話。セツの回想として進んでいく。

 セツが、命尽きたサトに「何故、命尽き果てるその時まで歌っていたのか」と聞くが、サトの答えはセツの耳には届かない。

 実際は届いていたが、理解が出来なさ過ぎてきちんと声として思い出せないことに気付く。

 回想から戻って隣にいたサトに、再び同じ質問をしようとして、セツは止める。

 答えを聞くのは、セツがもう少し人を学び、あの時の彼の言葉を声として思い出せる様になってからにしようと決めるのだった。



 二巻以降は、地球が滅びた原因や、神が見放した理由など、少しずつ明かされていく形になります。


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