ボケ老人なんてベッドに縛り付けろ!!

@HasumiChouji

ボケ老人なんてベッドに縛り付けろ!!

 ボクは……何時間……寝ていたのだろう。

 寝る前の最後の記憶は……ああ、そうだ、深夜まで受験勉強をした後、ベッドの上で、スマホでSNSを見ていた事だった。

 ネット上で「論破の帝王」と言われてるあの人がやった、頭がボケた徘徊老人についての投稿……それが寝落する前の最後の記憶だ。

「そんな老人はベッドに縛り付けて、徘徊しないようにすればいいじゃないですか」

 いや、本当に正論だ。

 この正論にイチャモンを付けるのは……自分がボケ老人になる事を薄々自覚してる奴らだろう。

 あれ?

 そう言えば、今日は学校は休みだったっけ?

 枕元の目覚まし時計を……無い。

 お……おい……。

 体が動かない。

 何だ……ここは?

 顔だけが動く。

 病院の入院用の大部屋のような場所に……何人もの老人がベッドに縛り付けられている。

 口や鼻にはチューブが差し込まれ……う……うそだ……何でだ?

 何で……ボクの口や鼻にも……ああああ……。

 やがて……部屋のドアが開き、白衣を着た五〇か六〇ぐらいの人達が何人か入って来る。

 そして、老人達の枕元にある……医療機器らしき装置のモニタや、ベッドに縛り付けられている老人達の様子を確認しているようだ。

「これが……俺達の十年後か二十年後の姿なのかねえ……?」

 白衣を着た中高年の1人がそう言った……。

「ま……こいつらみたいな冷笑系老害世代に比べれば……俺達は、こんな目に遭う可能性は少しばかり低いけどな」

「おい、それ、差別用語だぞ」

「あんたが言ったような事を『言葉狩り』だの『ポリコレ』だのと嘲笑ってた世代だぞ。自分達が差別用語で呼ばれて、さぞかし本望だろうぜ」

「だからと言ってなぁ……」

「しっかし……この世代は何で気付かなかったんだろうなぁ? 使って、少し考えりゃ、すぐに判る事なのにさ……」

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