第2話 真似してはいけない不屈の闘志(フライトキャンセル編)
舞台のチケットをとり、 6月に航空チケットを手配した私は
まぁまぁ、ありえないことにここで気を抜いていた
ドイツ国内の移動と宿の手配をしていなかったのである
理由はいくつかあったのだが、
そのうちの1つは、
当時もすでに円安が進行していたのだが、この時点ではまだかなり楽観視しており
規制緩和したら、もう少し円が高く戻るのではないかと考えていたからだった
そしてもう1つは
ヨーロッパの状況が全く伝わってこなかったために
観光がどのぐらい出来るのか、さっぱりわからなかったのである
フランスなどでアジア人が襲われたとか散発的な情報もあったし
以前訪れたことがあるエッセンは夜出歩くのは少し怖い感じだった
(夜、ミュージカルを観て、無事に帰ってこられるのだろうか……)
などとびくびくしながら夜チケットをとったので
この時点では最悪、ミュージカルだけ見て、外はホテルにいることも検討していたぐらいだった
それのどこが旅行なんだと突っ込まれると困るのだが
そうまでしても日本から脱出したいという気分だったのである
最終的に、流動的な予定でもいいだろうと言う
安易な考えのもとに
ドイツ国内の移動もまだ下調べしていなかったというのも
理由の1つだった
話はまだ準備が続いて申し訳ないのだが
2022年という世相を少し書き記しておきたい気分なので、まだ続きます
2021年の五輪開催のときもネットでは開催に批判的書き込みが多かったが
2022年の日本も大して変わりなかった
あいかわらず、日本の劇場に出かければ
「お客様同士の会話をお控えください」と言われるし
帰りは規制退場
おまけに「帰りはどこにも寄らずにまっすぐにお帰りください」
とまで言われる始末
街中のショッピングモールに行けば、雑談をする人であふれかえり、
狭い地域であれば、もう並びで間隔を空けてもいない
そんななかで日本はcovid-19変異酒オミクロンの猛威で
第7派の大波を迎え、TLの若いフォロワーさんが
次から次へと自宅療養していた
今回はひときわ大きな波だなと思っていた頃
「ルフトハンザ航空のフライトキャンセル」のメールが来た
7月中旬のことだった
ヨーロッパはちょうどツール・ド・フランスシーズン
少し前から、シェンゲン協定内は規制緩和がされただの、まだ陰性証明が必要だのと
正確な情報がわからなかった頃で
ビジネスで日本を出国したり、他の国を行き来している人はいたものの
まともに出かけられるのかよくわからない頃だった
ツール・ド・フランスが他国スタートで開催してるくらいなのだ
ヨーロッパはおそらく規制緩和に踏み込んでくる
フランスはそういう国だという確信があった
しかし、同時に国際郵便の遅れを呟く人もいた
どうしても日本にいると、ヨーロッパをひとくくりにしがちだけれど
実際は国別に気質も国のシステムも異なる
混乱しているのは、
コロナを発端として世界的な船舶輸送が逼迫し
特に費用を抑えたがる日本は、国際的な競争からはじき出されているなどと言われており
ウクライナ情勢もあって燃料費が高騰し始めた
ドイツの空港は避けた方がいい
と呟く人が増え、ルフトハンザ航空をそのままキャンセルすることにした
直行便を諦めて、ドバイ経由のエミレーツ航空に変更したのだった
普通日本からヨーロッパに行く直行便北回りに
ロシア上空を飛ぶのだが、なにせ、ウクライナ情勢のためにロシア上空は飛べない
一度、ドバイ経由を使ってみたかったことと
エミレーツ航空が比較的正確に動いているという情報を元に
どうにかチケットを確保した
なにせ航空便が少ない上にみんな危険を避けたいので、
ひとつのところにチケットが集中しがちなのだ
色々とあったのだが
6月の始めにとったチケットを8月に取り直したことで、値段がさらに高騰していたが
こうなったら意地だった
このフライトキャンセルはちょっとここでは書けないぐらい
大変なトラブルだったのだが
何が何でもドイツに行くという強い意志を固めていたので
航空チケットをとってまた燃え尽きていた
しかし、
舞台のチケットを確保したせいでさっぱり忘れていたのだ
当時すでにMark Siebert[マーク・ザイバード]は「ロビンフッド」を降板していたのだ
Facebookのチェックなどさっぱり忘れていた
SNSに弱い人類は情弱である
コロナ禍の日本で欧州の情報を手に入れことの難しさは
わりといつも以上だった気がする
そして海外はインスタグラムやFacebookで情報流す人が多いのだが
どちらも大変苦手でほぼ避けていた
特にFacebookは仕事の関係でアカウントを取っていた関係もあって
全く寄りついていない
多分これ、同人誌なんかをやっている日本人あるあるだと思う
ざっくり事前準備に必要なことを書いておくと
――――――――――――――――――
・舞台のチケットをインターネット予約する(これは劇場のサイトみたいなものに登録してとる。あちこち行くと、韓国語だの英語だのドイツ語だののメールが迷惑メールに入るので注意)
・航空チケットを取る(どこの航空会社がまともに運行しているのか、問題が多い航空会社がどこか、チェックしてから決める。問題をよく見かける航空会社ならびに空港はなるべく避ける)
・行き先の大使館情報をチェックする(コロナ禍のため、その国の入国時に必要な書類が異なり、状況によって変更される可能性があるため/ビザが必要な国ももちろんある)
・シェンゲン協定の情報をチェックする(主にヨーロッパ)
・日本国内の出国情報を外務省のサイトでチェックする(9月の時点では、ヨーロッパ視点で言うなら日本人の旅行者というのはどちらかといえば感染拡大国からの旅行者と言うことになるため、危険地域情報や、自国での入国に必要な情報も含めて、何回も確認する必要があった)
・抗原検査キットを買う(当時は入国・帰国時に陰性証明書が必要だったが、何かあったときに抗原検査キット持ち歩いていると良いという情報があった)
・パスポートの有効期限を確認する(思い込みでなく、これは念のために、必ずやった方がいい。私の10年パスポートはまだまだ有効でした)
・航空会社の機内持ち込みの重さを確認し、荷物の重さがクリアしているか確認する
・味噌汁などの日本からの飲食物を持ち込みたい場合、出かけた先の国で何が持ち込めないかを確認して、通販などで買う
・Wi-Fiの申し込み(今回はドバイでトランジット、ドイツからオーストリアへ移動と、三カ国をまたぐけれど、ドバイはなしにして二カ国対応のWiFiを申し込んだ。申し込みだけ済ませて、空港で受け取る)
・海外旅行保険の申し込み(重要。とても重要)
――――――――――――――――――
【私は怠ったけどやったほうがいいこと】
・旅行先の祭りなどのイベントを確認すること(コロナ禍でずっとイベントが中止になっていたところが2022年は突然開催が決まったりしていた。そのお祭りがお目当てじゃない場合、避けた方が良い場合もある)
・鉄道チケットを手配する(国によって、乗り放題の鉄道チケットなどがあり、早めに手配をしておくと便利)
・なるべく直近の情報を随時こまめに調べること(正直、航空会社と入国出国辱方のチェックだけで燃え尽きてた)
・一度とったチケットでも間違いがないか、自分が情報を誤認してないか、何度もチェックすること(これは1人旅行の時、とても難しい。友達との旅行企画の場合、自分がとったチケットでも友達に確認してもらうという作業が発生するのだが、自分が手配して自分がチェックすると言うのは思い込みが発生して、間違いをチェックしにくい)
・円がどんどん安くなっているので、明日は円が高くなるかもという幻想を捨てて宿の支払いを先に済ませておく(予定の変更が効かなくなるが、こちらの方が傷口が浅かった気がする……)
――――――――――――――――――
最初は羽田空港発だったはずが、成田空港発に変更になり、日程も大幅に変更した
最初は1週間ほどで帰って来ようと思ったのだが
トランジットだし、ドイツからオーストリアに行くので10日間の日程になった
そうこうしているうちにどんどん円安は進行し、焦った私は慌てて仕事の合間に適当にルートを決めて宿を申し込み、オプショナルツアーを申し込みした
そうこうしているうちに大きなニュースが入った
日本の入国制限が9/7から緩和されたのである
https://www.travelwith.jp/roadtraveler/post-62256/
少し前に、ドイツでの入国制限緩和のニュースは流れていたものの
それもあまり信じられず、Twitterなどでリアルタイムにつぶやいている人がいるかどうか何回も確認してしまった
8月くらいから、陰性証明書不要になっていたっぽい
どうやらヨーロッパにおけるPCR検査の縮小などを受けて(?)
日本も陰性証明書が不要になった
折しもどこで陰性証明書を発行するか予約申し込みをするかどうか悩んでいた時期だったので
これは1番の朗報だった
なにせ日本の陰性証明書はとても高かったのである
PCR検査は政府の補助があるはずなのに、英語の陰性証明書は大抵25,000円もしたのだ!!!
(海外は当時の円換算で5000~1万円くらいだったかも?)
行くときも帰りも陰性証明書が不要!
日本国内で72時間以内の陰性証明書を用意するのも
旅行間際には結構大変だし
異国で、 48時間以内の陰性証明書を発行できる期間を探すというのも
大きな負担だった
入出国に陰性証明書が不要だというだけで、大勝利である。
しかしここで旅行直前に、コロナにかかったら元の木阿弥なので
なるべく出かけないようにしていた
でも、角川キャラクター小説大賞の二次選考に通過したため
友達がお祝いしてくれるというので、ちょっとしたごちそうをおごってもらいましたが。
そして9月15日
美容院で髪を切り、航空チケットとお金、そしてパスポートを確認して
いざ、ドイツへ!
――そして冒頭のゴーストタウンと化した成田空港に戻るのだった
(つづく)
ドイツとウィーン2022ミュージカル観劇旅行記~失敗だらけ狂騒曲 紙屋ねこ(かみやねこ) @kamiyaneko
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