これがセパタクローだ!!!!!!!!!!!!!
「よっこらせぇ……さて、八雲はどのコートにいるんだぁ?」
試合を観に来た
「お、おい……あれって本当に高校生か?」
「やばくね? なんだよあのアタックパワー、プロ並なんじゃ……」
隅にいる学生達のヒソヒソ声に、
「……!」
「しゃあああッ!」
アタックが決まり、熱きスポーツマンの声を上げる八雲を遠目に見て、
「あれが……セパタクローの、試合なのか」
サッカーで言えばスーパープレーと言えるオーバーヘッドキック。しかしセパタクローでは、それは攻撃の基本。そのスポーツの全容が、コートに近付く度に
「ナイスサーブ、
本気で取り組む八雲の声が、
「いけぇッ!
攻撃を託したサルジの声とトスが上がる。
「……でゃああッ!」
しかしその印象を、八雲のシザーズアタックが一瞬で蹴り飛ばす。強靭な足から放たれる攻撃の球速は、150キロに届くレベル。相手コートにいる大学生達は、足を伸ばしても、背中でブロックしてもそれを止められなかった。
「フッ……、フォーティーン・スリー!」
主審の宣言に、周りで練習していたセパ選手の殆どがコートを見た。めくるタイプの黄色い得点板は、八雲達のチームがセットポイントである事を示している。
「ナイスアタック
「さっさと終わらせて、
今まで人との関わりを控えてきた八雲の周りに、チームメイトが集まっている。コートの外側まで来た
「八雲……!」
「
しかし八雲に、疲れは関係なかった。目の前の試合に集中して、アタッカーとしての役割を全うする。山なりのトスに対して、左腕を骨折しているはずの快晴は、頭上を通過する足技のサーブをバァンッと打った。
練習試合とはいえ、追い詰められた大学生達も本気でボールに食らい付く。丁寧にレシーブしたセパボールは、順番にトスされて、威力重視のローリングアタックで攻める。
「ッ!」
そこに八雲が足を伸ばして迫った。足と足が衝突するネット際の戦い。どちらが有利か分からなくなるくらい、その攻防は迫力満点。大学生が放った高威力のアタックを八雲は阻止するが、ボールはコート外へ向かっていく。
「ごめん!
八雲の声が追いかけるボールは、サルジが拾いに向かった。触れてしまった以上、これを返さなければこちらの失点となってしまう。サルジは声を張り上げて自慢の長足を伸ばし、スライディングでギリギリ拾った。
「
快晴に負担かけるなと指示を飛ばすが、八雲はブロックから腕で着地したばかりで、トスを拾える体勢ではない。セパボールは真横に飛び、落下を待つタイプの球ではなく通常プレーですら、簡単に取れるものではない。
「俺が取——————るッ!」
声を上げながらも足が伸びない快晴は、怪我した頭で飛んできたボールをトスした。腕の骨折と合わせて激痛で意識が飛び、背中で落下して転がる。
「ガハッ……くッ、頼むぞ
快晴が全身で上げたトスを、八雲は追いかける。ネット付近へ真っ直ぐに飛んでいくトスは、相手にとってはチャンスボールだ。これをアタックするのはあまりにも難しい。
「任せてッ!」
しかし八雲はビュンッとボールに追い付いた。跳躍力で勢いを乗せると、そのままローリングアタックに繋げて、相手コートに閃光の如くボールを叩き付けた。
「……! ゲ、ゲーム・セット!」
主審の宣言で、快晴達は身を寄せ合ってよっしゃああッと勝利を喜び合った。何度も足と頭が逆転するプレーは、まさに圧巻。全くそのスポーツを知らなかった
「これが、お前らの挑戦する『セパタクロー』なのか……? すげぇカッコイイじゃねえか!」
セパダン!!! 篤永ぎゃ丸 @TKNG_GMR
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます