ヒロイン…?

「あの…本当に申し訳ございませんでしたぁっ!!」


「ふんっ!!まぁ…急ブレーキが発端だからこの程度で許してあげるけどね!!あんた、何度も、その…あれよ、揉む必要はなかったでしょ!!」


「ええと…仰る通りでして、あ、良ければ、ジュースでも奢りましょうか」


「ま、まぁ、あたしの胸はジュースよりも価値あるけど、仕、仕方ないわね!!奢られてあげるわ!!」


 先程の運転手による急ブレーキで怪我した人達が多く、中には、その場でバスを降りる人達もいた。


 そのため、俺達は少しスペースに余裕があるところで、周りに聞こえないように小声でやりとりをしている。…お互いバレたくないしな…。


 改めて、俺の視界に映っている小柄な女の子を観察すると…彼女の顔の特徴的な部分は、やや明るい茶色の髪をワンカールセミロングにし、ガラス玉のような大きな瞳の色は日本人にしては、珍しいダークグリーンの所だ。


 ただでさえ、美少女である彼女を引き立たせるコーディネートは頭の上には白黒の帽子のチョイス、深緑色のジャンパー、ズボンは淡い青色のジャージとラフな格好をしている所だ。


「なによー。ジロジロ見て………やっぱり、さっきの意図的なんじゃ…」


「ち、違うんだ!!えっと、その…君に…見惚れちゃって…」


「ば、ばかっ!!………それよりも、その制服!!まさか、白鷺高校の生徒なの?変態の癖に偉いんだね!!」


「変態は余計だ…。一応、進学校に通ってる。んで、俺の名前は志津智之しづともゆきってんだ。君は?」


「あたし?本当は、変態に名乗りたくないんだけど、海堂詩織かいどうしおりっていうの!!あんたのような犯罪者予備軍が、あたしの名前を聞けたんだから、光栄に思いなさいよ!!………そ、それと、特別に詩織って呼ぶことを許すわ!!感謝しなさい!!」


 犯罪者予備軍は言い過ぎだ!!決して、わざとじゃない!!事故だ!!と考えながらも、機嫌を損ねるわけにいかない。


「そうか。んじゃありがたくそう呼ばせて貰うわ。それと一応確認なんだが、詩織もミコナーズ株式会社が運営するイベントへ来たんだよな?」


 周囲の様子を気にしながら、詩織へと俺は小声で確認する。当然、バスの中では、先ほどの急ブレーキの事で話題になっており、中にはSNSなどを用いて動画に投稿しているかもしれない。


 最も俺は、そんな些細なことよりも今日のメインイベントの方を楽しみにしているため、問題ない。


「ん、まさかあんたも!?ま、まぁ…あんたは多分見学よね?」

「乗客の大半は俺達と同じだと思うが…ん?俺の場合は体験だな」

「ええ!?変態のくせに!?」

「変態は関係ないだろっ!!」

「そんなに疑うなら…この歓待券を見ろよ」


 俺は財布と共に入れている歓待券を詩織へ見せる。


 彼女は目を見開いた後、律儀にもわざわざ俺に桜色の鞄から取り出して自分の歓待券を見せてくる。


 そうこうしていると、バスが運行再開となり、詩織と共にお互いの目的地であるミコナーズ株式会社までなんだかんだ、一緒に行く事となった。


 ちなみに彼女へ約束通り、道中で500mlの炭酸飲料を奢った。



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