第一皿 あっさりキャベツ

店も落ち着いて誰もいない店内に一人のサラリーマンがやって来た、だいたい50代ぐらいに見える。

そしていつものごとく心の声が聞こえてくる。

<あー仕事疲れたー、今日はあっさりしたい‼︎。でも、がっつりも欲しい‼︎>

少し具体的で驚いていた。

そしてサラリーマンはカツ丼と味噌汁を注文したのだが…

<あーどうしよう、頼んだのはいいけど味噌汁ではないあっさりも欲しい‼︎ でも妻からは節約も言われてるし>

また声が聞こえてきた。

まあ他人の家の都合とはいえ同じ妻をもつ立場で分からんこともない。あと一品はサービスしよう!

そして味噌汁を作りながら、今朝仕入れたシラスの事を思い出した。


よしあれを作ろう❗️

まずキャベツ1枚を一口大に切り茹でて、今回はすぐに食べるから流水でさまして水気を切っておく。

次に梅干しを一つ果肉だけ刻んでおく、あとはいい感じにドレッシングを作ってそこに刻んだ梅と今朝のシラスを三つかみほどを入れてドレッシングの完成。

あとはその2つを和えれば、茹でキャベツのあっさり梅しらすドレッシング和えの完成。

梅の赤、シラスの白、キャベツの緑が相まって我ながら美味しそうである…ではなく早く持っていかなくては、我を忘れる山本であった。


そしてサラリーマンのもとへ持っていくと、

「カツ丼と味噌汁は頼んだんだけど、これは頼んでないよ。」

と一言、言ったものどこか嬉しそうなサラリーマン。山本は適当に

「お客さん、初めて来てもらいましたしサービスですよ。」

と言ってまた黙々と作業を進めていると、また心の声が聞こえて、

<いやー美味しいりこれぞまさにあっさりとがっつりだな満足だ、くるしゅうない。でもなんでわかったんだ?いや、気のせいだろう>

そしてサラリーマンは会計を済ませるとどこが満足気に帰っていった。

流石にあせったのか、山本はサラリーマンが店を出た安堵の表情を浮かべて一言、

「あぶな〜、さぁ片付けでもすっか」

そして、またもくもくと作業をするのであった。

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こっそり食堂Y @nyboy

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