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夏休み終盤となったとき、大変なことに気が付いた。まずい。レポートがまるで終わっていない。これは夢だと何度も思ったが…現実であることくらいわかる。

派留美はというと…


「そんなの遊園地行った次の日には終わってたし!」


だとさ…。ありえーん!

共通科目なんで、落としちゃうとまずい。1週間前になってやっと始めたわけですが…これは手強い。まるで進まないし、まとまらない。考えをまとめるのに1週間かかってしまった。

そうこうしているうちに、後期の授業がスタートした。まとめるのに時間かかったが、まだ終わっていないという。まずい。

早速、レポート提出の授業があったのだが、まだ全員は提出していなかった。


「終わっていない生徒は今週中に提出するように」


とのことだった。なんということだ。俺に猶予を下さるなんて。


「今回提出した生徒の中で、大変素晴らしいものがありました。高峰派留美さんのものです」


え、派留の?


「皆さんにも参考にして頂きたいので、次の授業で配りたいと思います」


えー派留すげー!授業が終わると…


「高峰さん!レポートのデータないの?ぜひ参考にしたいんだけど」

「どんなテーマにしたの?」


たくさんの知らない人がおしかけてきた。もちろん派留美に。当の派留はというと…


「すみません、失礼します」


と、去って行った。後を追って、話しかけると…


「あいつら、なんなの!普段全然話してこない人なのに!バカみたい!あと先生もね!」


「まあ、そうだけどね~。でも派留すごいよ!」


「すごくない!普通に書いただけなのに!大袈裟なのよ、まったく!」


「まあ落ち着いてよ~。それよりさ~レポート手伝ってくれるよね?」


「は?まだ終わってなかったの?」


「うん、あと少し。いいでしょ?」


「ったく!ちゃんと計画してって言ったでしょ?」


「ごめーん。派留助けて~」


「もうじゃあ早く帰るよ!」


「イエース!」


家に帰ってレポートを見せると、波留はがっかりした。


「全然まとめてないじゃん」


「あーまぁーそうだけど。頑張ったけどねぇ」


「なんでもっと早く始めないの?」


「そうだよね。派留、いろいろ手伝って」


「嫌」


「えー」


「私は誤字脱字の修正くらいしかやんないから!」


「えーそんだけ?」


「当たり前でしょ?自分でやらないと!」


「はーい。体力使うな~」


「大丈夫!私がちゃんと食事作るからさ。とりあえずまとめ作業だけど、カテゴリ分けした方がよくない?」


「あ、そうかぁ」


「あと、作業するにあたってだけど、無駄な資料はもう片付けたほうがいいと思う」


「そうか…これとか」


「うん。私片付けるから」


「ありがとう派留!」


なんだかんだ、手伝ってくれる嫁であった。

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ただし×はるみ えいみ @fukuharaeimi

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