いつの時代も私たちは「今日よりいい明日」を目指している。

2万年前の旧石器時代が舞台だと言われて、自分とのつながりをすぐに感じられる人は正直、少ないと思う。

ところが、ところが。
この作品には、いまの私たちと同じように「成長する自分」を信じる、ひとりの少年が描かれている。
熱視線をむける先は違っていても、彼が抱く「いつかは自分も」という気持ちに、共感を覚える読者は少なくないだろう。

私たちは色も形もそれぞれに、夢や希望を抱いて生きている。
もちろん、未来を保証してくれるような人は誰にもいないのだけれど、それでも歩いていってみようと思える、そんな一編でした。