世界を賭けた餅のものがたり

レビューを書くに値する傑作が、気圧に負けているあいだに誕生していた。
その名も『和歌山にやたら餅まき多いんはキイエルフが餅に魔力込めて世界の均衡保っとるからなんやしてよい』。
(いつの間にか、タイトルがパワーアップしていたので修正しました)
全編を紀伊のお国言葉によってつづられた、かの井上ひさしの名作『吉里吉里人』を思わせる一編である。


はじめから、おわりまで、たのしい。


こんな僥倖が正月気分もようやく抜けたころにやってくるのか。私は震えた。夢ではないのか。実はまだ箱根の往路の真っ最中ではないのか。むしろ、これこそが初夢であってほしい。そう願うほどのしあわせが、この作品にはあった。

……え?

お前の話は、いい?
レビューになってないじゃないかって?

なにを言うかと思えば……(嘆息)
作品の内容には、ちゃんと冒頭で触れているじゃあないか。それともなにかね? キミはたった数分で終わってしまう芸人たちのショートコントにも、詳細なスジや、言葉遊びのシナリオを事前に求めなければ楽しめないタチなのかい?

耳をかっぽじって、よく聞いてほしい。
この作品を楽しむために必要なことは、ただひとつ。読むこと。そして湧きたつ心のままに笑い、称賛の声をあげることなのだよ。

ネイティブ・スピーカーだからこその隙のない語り口。
着想を得て、一日で書きあげられたこそ感じられるドライブ感。

こんな私のレビューを読む時間があるのなら、さあ、一刻でも早く本作品へ!


みんなで修羅の国・和歌山に行こら!


(レビュータイトルは、約20年前の某映画日本公開時のキャッチコピーを踏襲させていただきました)