クラス女子会開催
ホームルームも終わり帰路に着こうとした瞬間に教室に女子の声が響いた。クラス委員の西條さんだ。
「女子会を始めたいので男子諸君は速やかに退室をお願いします!」
「さあさあ、手早くお願いね」
打ち合わせでもしていたのか、女子達は分担して手早く男子の追い出しに掛かっていた。
そして、その最中、何故か複数の女子の視線が僕の方を向いていた。
嫌な予感がする。現実になる前に素早く退室を――させてくれなかった。
目の前に立ち塞がり出口を塞ぐ女子3人。
「あら?黒川さん、どこに行くつもりかしら?」
「そうよ、本日の主役がいなくなったら困るわー」
「退出するのは男子だもの、黒川さんは別でしょう?」
見逃してくれる気はないようだ。女子会という名の何が始まるのだろう?
響の親衛隊に呼び出されるのとは別の緊張感が走った。
「そう警戒しないでよ。王子、じゃなかった、大森さんも参加してくれるんだから心配しなくっていいよ」
「取って食ったりしないからね」
婦女子に囲まれた男の取る道は一つしかない。されるがまま、言われるがままに従うのだ。
「へえ、二人が幼馴染なのは皆んな知ってるけど、結婚の約束もしてたんだ?おませさんだったんだね」
「結婚の約束をした二人が大きくなって。素敵だわ!」
「かたや王子で、かたやオタク君だと思っていたからねぇ。こうも化けるとは誰も思っていなかったんじゃないの?」
クラスのリーダー的存在の川上さんの発言にクラス全員がうなづく。
「これだけの素材だとわかっていたら手を出して――いや、出すわけないよ。本当よ!」
響の無言のプレッシャーを感じ取った川上さんが懸命に否定した。響の圧は男装している時以上の迫力があった。
「バスケのシュートもあの距離で半分以上決めてたよね。ちょっと凄いんだけど」
後半バテてシュートの成功率が落ちたのは見逃してくれたようだ。
響が自分が褒められたかのように胸を張っているが今はそんな時ではない。
そろそろ本題に入って欲しかった。
川上さん、西條さん、クラスの女子達が顔を見合わせてうなづくと代表して川上さんが口を開いた。
「ちょっとこれ見て欲しいんだ。クラスで取ったアンケートなんだけど。二人にどちらを着て欲しいか希望を取ったアンケート結果がこれよ」
見せられたスマートフォンの画面には
『大森響 男装:38 女装:0
黒川琢磨 男装:19 女装:19』
との表示があった。
「ちなみにその黒川さんの女装19票が男子の投票で、男装19票が女子の投票だからね」
「揉めるから男子を追い出したのよ」
「要するにクラスの総意として、明日から男装ペアを希望します!」
すっかり響への根回しは済んでいたようで、響はうんうんとうなづいていた。
いつもの日常に戻るという事で僕にも異論は無かった。
女子会も終わり教室を出た瞬間に颯太、竜也達に捕まったが
『王子含めて男子会しようぜ!』
の発言を聞いた瞬間に張り倒して帰宅した。
後ろ目にクラスの女子共に袋叩きにあっている姿が見えたが自業自得で同情する気にもならなかった。
男装の幼馴染に告白してみた -僕の幼馴染は学校の王子様- 青空のら @aozoranora
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます