本編 #終

 さあ世界の終わりを眺めよう。

 一体何が起こるのかを見よう。

 それでどうなるかはわからないけど、とりあえず足掻いて、今の俺には夢ができたんだ。


 こいつと付き合いたいって思ったからさ。


 ほとんどもう、諦めてたけど、やっぱ一パーセントの〝勘違い〟を信じたい。


「十」


 夕暮れの空、並ぶ二人の背中は、たぶんとても小さいだろう。


「九」


 伸びる影法師はどこか寂しそうだ。


「八」


 ここから先の地球は、一体どうなっていくのかな。


「七」


 もしかしてかつての恐竜だったりも、こうやって絶滅を迎えていたのだろうか。


「六」


 でもきっと次は新しいのが生まれて、俺たちになって、またこの繰り返し。


「五」


 だから、この後どうなっていくかなんてまるで想像つかねえけどさ。


「四」


 俺たちがこの世界にいた。って事実は、きっと意味があることだと思う。


「三」


 数寸先は暗闇の未来。


「二」


 後悔はある。悲しみがある。目を背けたくなる。未来を誓いたくなる。ここで終わるなんてやっぱりいやだと思ってしまう。


「一」


 だけど、それでも、俺たちは。



「――綺麗だ」



 世界の終わりを、見つめていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【3900文字小説】あと五分。三分。残り一分。 環月紅人 @SoLuna0617

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ