終章【萌芽】
九月二十一日
適度な気温。適度な明るさ。適度な静けさ。
それはそれは、心地の好い朝だった。
目を覚ますと、隣では既に華憐ちゃんが起きている。寝起きからその美しいご尊顔を拝謁できることに心から感謝し、眠気眼を擦っては、そのお顔を心ゆくまで眺める。
下から見上げる角度でも彼女は美しく、どんな角度でさえ彼女に死角はない。
今日も今日とて、彼女は美しく、朗らかな朝日に照らされ、より一層、美しく輝く彼女。だが、私は、そんな彼女の姿に、どこかいつもと異なる雰囲気を感じた。
私は起き上がり、彼女の顔を正面から観察する。
そして、小首を傾げる少女の顔に穴が空くほど眺めた後、私は小さく言った。
「華憐ちゃん、髪伸びた?」
――――――『Camellia』――――――
Camellia 接木なじむ @komotishishamo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます