『ぷちぷち みらい』
やましん(テンパー)
第1話 『内心の自由』
『これは、全て、フィクションです。今のところは。』
生まれたら、すぐ、体内にコントロール・チップを装着するため、病気や、ストレスなど、すぐに分かります。
悪性がんの治療も、難病の治療も、アルツハイマーなどの治療も、大進化しました。
また、何を考えたか、どんな夢を見たかも、全て、中央量子コンピュータが監視しています。
といっても、ここんとこ、穏健な首相さんだったので、だから、何が、ということにはなりませんでした。
しかし、先日、政変があり、たか派の首相さんになってから、状況は変わりました。
あるひ、ぼくは、スーパーに行きました。
周辺国との紛争が、当然激しくなるなか、物価は上がる一方です。
新しい、チップ世代は、学校でしっかりと教育されているので、生活に不満を持ったり、指導者を批判する考えは、あまり持ちません。
それでも、個人差はあり、公然とやればともかくも、意識の中で、危険思想を抱いたとかで、逮捕される人は、ここ暫くは、穏健派の首相さんということで、あまり沢山はありませんでした。
しかし、そのとき、プレ・チップ人間のぼくは、つい、思ったのです。
『ばっきゃろう。紛争なんてするからだ。【けとばしても、物価は上がる、秋の夜長かな。】だよな。まったく。』
で、お家に帰ったら、例の、メン・イン・ブラック、と呼ばれる方が待ち構えていて、ぼくは、逮捕されました。
それから、『メンタル的拷問』、と呼ばれる、肉体ではなく、精神を直に攻撃するシステムに掛けられました。
しかし、ぼくは、ある意味、幸運でした。
たまたま、担当していたオペレーターさんが、このシステムには反対だったので、形だけ済ませ、申し立て書にサインすることで、解放するから。と、言われました。
しかし、それは、昔の、踏み絵みたいなものです。
『今後、反政府的な思想は抱きません。』
なんて、明らかに、自尊心の破壊です。
さらに、どうせ、また、同じことが、起こるでしょう。
コンピュータさんを、騙す、呪文は、ないこともない。とのこと。
しかし、もう、効かないかも。と。
他に、方策はあるか、尋ねました。
『あります。まずは、安楽死。簡単で、苦しくもありません。お薬を一個飲むだけ。次が、地球逃亡です。月に亡命さ、します。ただし、正規のルートは、非常に高額です。もぐりの業者さんなら、安いですが、危険で、補償はありません。ご希望なら、仲介します。あなたの場合は、持ち家がありますから、もぐりの業者さんでも、良い方にできるかも。』
『あなたが、仲介するの? 手数料とか取って?』
『いえ、じぶんは、正義感からやってるので、ボランティアです。でも、危なくなりそうなので、今日を最後に地下に潜ります。それが、3つ目の道です。同行しますか? ただ、命懸けになります。チップを無効にする方策は、乱暴なやりかたですが、あります。かなり、痛いですよ。かなりね。ほじくり出しますからね。まあ、もちろん、お尋ね者になりますよ。』
ぼくは、彼女に同行することにしました。
このとしで、月に行くのは、無謀なのです。
まだ、反乱月政府は、出来たばかりで、地球と戦争しております。基地は、月の裏側ですが、地球からは、毎日、新型宇宙ミサイルが来ますような。いつ、核ミサイルが来るかは、わからないんだとか。しかし、核ミサイルは、もし使うと、月のインフラをまとめて破壊し、地球側が制圧しても、開発に待ったがかかり、復旧には、多額の費用がかかります。
また、月に渡航しようとする一般宇宙船は、狙い撃ちにされてるようです。
あまりに、危険過ぎます。
で、そのさきは、もし、生きていたら、いつの日にか、また。
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