ジャンヌを中心に中世欧州のスリルとロマンが同居するお勧めの作品です!

タイトルを一見すると、割と軽めの歴史系転生小説なのかと思いますが、拝読して驚くのは、十五世紀初頭のフランスは言うに及ばず、主人公と、不本意ながら同行することになった彼女? の視線で、複雑怪奇なヨーロッパの歴史、宗教、習慣、生活習慣、そして金融システムにいたるまで、精密に書き込まれていて、ひしひしと肌に時代を感じます。

そして、その精密さゆえに、読みにくくなるのが、この歴史小説分野の少々難しい所ではあるのですが、作者様は、随所にスリルやサスペンス的要素も織り込み、そこを見事に読者を物語へとのめり込ませる筆運びで、書いていらっしゃいます。
謎の人物や組織、現れる歴史の人物たち……一体この先どうなってゆくのか?

タイトルの「ジャンヌ・ダルク」も従来のいわゆる「型」にはまった人物像ではなく、血肉をもった実に生き生きとした存在として描かれているのも魅力です。

面白くてためになる。そんな稀有な作品だと思います。是非!

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