無敵だが、その強さを隠す美学。

 主人公は架空の物語のヒーローにあこがれる高校生である。しかし、刀を取れば無敵。普段はそれを隠すというヒーローの美学を貫こうとする。

 読者は安心して主人公の冒険に身をゆだねればよい。彼は危うげなく多彩なスキルを操り、モンスターを倒し、心無い同級生の苛めをはねのける。

 モチーフ的に「臭い展開」になりかねないところであるが、破綻のない文章力が素直に先を読ませてくれる。

 安易なテンプレのように見せて、ち密に練られた作品である。

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