第9話 会ってみないとはじまらない

「まさかハウリングドラゴンがこんなに手強いなんて……」


クリスティーヌが涙目で言う。


「……手強い」


イチも目に涙を浮かべる。


「タベナイデー」


ハウリングドラゴンが愛らしい目で訴える。


「こんなの食べれない」


幼女の姿をしたハウリングドラゴン。

声まで美味しいハウリングドラゴン。


「とりあえず前歯折ろうか?」


ハデスがニッコリと笑う。


「折らないでーーー」


ハウリングドラゴンが涙目で訴える。


「うっさい」


ハデスはハウリングドラゴンを殴る。


「痛い……痛いよぅ」


ハウリングドラゴンが涙をこぼす。


「ハデス、容赦ないわね」


メルがため息を吐く。


「当たり前や。

 こんなおっさん」


ハデスがハウリングドラゴンを容赦なく素手で殴る。


「おっさん??」


アースロックが戸惑う。


「なんやアースロックくんにはこのおっさんが幼女に見えるんか?」


ハデスがニッコリと笑う。


「違うの?」


イチが言う。


「おっさんやで?」


ハデスがそういうとハウリングドラゴンがロリボイスで言う。


「なんだバレてるのか」


ハウリングドラゴンが舌打ちをする。


「そりゃそうやろ?クリスティーヌにどう見えているかはわからんけど。

 魔属性の存在からしてみればアンタの正体はバレバレや」


「人間じゃないのか?可愛いから美味しくいただろうと思ったのになぁ」


ハウリングドラゴンがケラケラ笑う。


「美味しくですか?」


クリスティーヌが笑う。


「まずは――」


「私は今、激おこなのですよ?」


ハウリングドラゴンの言葉を遮りクリスティーヌの目が光る。


「ならハニーキラー様から頂いたこの媚薬でたっぷりと――」


「媚薬?」


アースロックの眉がピクリと動く。


「……興味あるのかい?坊や。

 この薬があればどんなメスでも好きにできるんだぜ?」


「好きにできる」


アースロックの心が揺らぐ。


「アースロック?」


メルが心配そうにアースロックの方を見る。


「俺の味方になるのなら――」


アースロックはハウリングドラゴンを斬った。


「なぜ斬れる……?この幼女ボディーを」


「見た目はコドモ、頭脳はオトナ。

 お前みたいなやつが一番キライなんだ」


「クソが……」


「コイツ、本当に美味いんか?」


ハデスが首を傾げる。


「多分、歳を取りすぎてますね」


「クソが。なら一番弱そうなこの男を道連れにして!」


ハウリングドラゴンは、イチの首を爪で切り裂いた。


「あ!」


時の女神に動揺が走る。


イチの首から血が流れ。

ハウリングドラゴンの皮膚に数滴かかる。


「え?その程度?」


クリスティーヌは驚く。


逆にハウリングドラゴンの爪がボロボロになっている。


「イチ、なにしたん??」


ハデスが尋ねる。


「攻撃される前に爪をちょっと殴った」


「あ、クリティカルヒットってやつやな」


ハデスが笑う。


「ってかハデス先生。

 このおっさんのステ見てください」


メルが言う。


「なんや?急に敬語なんか使って」


ハデスはそう言いつつハウリングドラゴンのステータスを覗いた。

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ゼロからはじまる冒険 はらぺこおねこ。 @onekosan

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