第75話 闇の使徒
僕と聖剣は、父親達のいる地下広場まできた……のだけど、地下広場の状態を見て僕は絶句した。
事前に例の生物で地下広場は調べ、父親達がいるのもしっかりと確認したし、広場の状況も巨大なホテルの宴会など使われそうなホールだった。
しかし、今、僕達の目の前に広がっている景色はまるで地獄、いや、サリの知識から考えると魔界にある場所がこんなのではないかと思えてしまうほどに、別世界だった。
これはどういう事だ……?
「ここは……【固有世界】だな。しかも、完全に閉じこめられるとは。これはヤバイぞ」
【固有世界】って、超級以上のヤバイやつが使う結界で、発動する条件や維持が大変だが、発動さえしてしまえば発動者に有利な世界で戦えるってやつか。
「これが【固有世界】か……聖剣はここからの脱出方法を知ってるのか?」
「我の知識では完全に閉じこめられたら、発動者を倒すか、解除させない限りは無理だな……しかも聖属性がまともに使えないぞ……ここまで悪質な【固有世界】は知らないな」
僕は聖剣の話を聞いて【光魔法】を発動させるが、僕の【光魔法】も何かの制限を受けている感じがした。
「【光魔法】も何か制限を受けてはいるけど、使えるな」
僕の【光属性】と聖剣が使う【聖属性】は似てはいるけど、別物なんだなと思う。
これを発動した者がきっと聖剣よりも存在自体の格が上だから【闇属性】の影響をまともに受けているのかもしれない……。
そして、そんな事が出来るのは、【闇の使徒】だろう。
【闇の使徒】にサリの復讐をしたいとは思うけど、今の僕では厳しい気がするな。
僕達は慎重に進んでいると、サリの記憶にあるシルエットが見えてきた。
「クックック……本当に来やがったな」
「やっぱり」
この不気味な空間の奥から気持ちの悪い声が聞こえてきた。
この声を聞いただけで身体からは激しい嫌悪感が溢れ出て来る感じだ。
僕の中には勝てないから戦うなという本能と絶対に交わることの無い嫌悪感により倒さなくてはという感情が混ざり合っていた。
「俺様はあの天使が何を企んでいるか分からないから念の為に天使とその眷属は消しておくつもりでわざわざ【固有世界】を作ってまで待ち構えていたのに……あの天使は消えたのに、何で人間から天使の力を感じるんだ?」
やっぱりこいつはサリがどうなったかなどは把握出来てないのか。
「あなたの目的は何なんですか?」
そもそも何故こいつは僕達の世界を襲撃してまで人をさらい、この世界に連れてかれたのか、目的はわかなかった。
僕は話しながら、どうやって戦うのか考えていたが、今までの敵の様に何かしらのゲームが元になっているのか、もしくはそんなものは無いのか悩んでいた。
今のところ、サリの知識にある【闇の使徒】の動きを思い起こしてはいるが、該当するゲームは無い気がする。
今まで僕が強敵と戦って来れたのは、ゲーム知識による攻略法を知っていたというのが大きい。
「俺様の本来の目的は違うが、今は天使の眷属である貴様の消滅だ」
そう言い、【闇の使徒】が襲い掛かってきた。
ダンジョンブレイカー“僕だけがダンジョンの攻略法を知っていた” フェアリーP @wz754732011
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