神との対峙。絶妙な終末感。少しズレた世界を生きるセカイ系

人が死んだら手紙になる。と聞くと、皆さんはどういう世界を思い浮かべるだろうか。
葬式はどうするの。殺人の証拠隠滅に便利そう。自分、もしくは大切な人が死んだら手紙に何が書かれているのか。
このルール変更だけで、僕たちを取り巻く状況、死生観は大きく変わると思う。

この物語は、突如、現実とは少しだけルールがズレたパラレルワールドに主人公の佑梨が迷い込むところから始まる。
冒頭でのショッキングな描写もあり、読む人によっては抵抗感もあるかもしれないが、それでも読み進める価値があると思う。

主人公は人が死ぬと出現する死紙を神様に運ぶ仕事をする女と出会い、行動をともにする。
そして表面上は少しだけズレただけに見える世界も、裏側から見れば全く違う顔を持つ世界で……。

少し前に、シュタインズゲートなどのセカイ系が流行ったが、この話も主人公たちを中心に、世界の命運を大きく握るドラマが繊細な心理描写とともに描かれている。
果たして、佑梨は元の世界に戻れるのか。死紙を集める神様の目的とは。そして、世界の命運は?