第33話 まぁいいけど
翌日。
アシュレイという特大の脅威が消え王都に帰ってきた俺。
聖剣をとりあえず担当の人に預けてレイリアを探して横に立つ。
王城は騒がしかった。アシュレイが消え、王様が死んだことの2つでドタバタしているようだった。
地下牢に繋がれるエルザはあれ以来何も話さないらしい。
流石にこんな事になってしまえばルーシーも王城に来ていた。
「本当にアシュレイが裏で暗躍していたなんてな」
「俺はあんたもグルかと思ってたほどだ」
だから今回の作戦には加えなかったんだけど
「まぁ、そう思われても仕方ない無能を晒したな私も。それと君の名誉回復は優先でやらせてもらってるよ」
そう言って首を横に振る彼女はそのまま次の所へ歩いていく。
さて、当面の不安は消えたな。
1番の不安要素だったアシュレイは消えた。
これから何をしようかな。
やっぱ冒険者生活か。
1番楽しみにして王都に来たのに早速現れやがったからなあのクソアシュレイが。
まぁ正直十分好き放題したけどねもう。
そんなことを思っていたらレイリアが俺の手を引っ張ってどこかへ向かっていた。
自分の部屋に俺を迎え入れたレイリア。
そのまま彼女は俺をベッドに座らせて
「ミズキ様。私不安で張り裂けそうなのです……」
そう言って俺を押し倒してくる。
「この胸に空いた穴を埋めてください。あなたで」
◇
レイリアが1人寝たのを確認したあと俺は地下牢まで来ていた。
エルザの確認だ。
「アシュレイは亡くなったのか?」
「あぁ」
「そうか」
短く答えるエルザ。
少し身動きをする度に鎖がジャラジャラと鳴り響く。
「知ってることを話してくれないか?」
話し始めるエルザ。
「あの方は自分のことを勇者だと信じきっていた」
どういうことだ。
あいつは生まれつきの勇者って言ったのはエルザじゃなかったっけ?
俺の疑問に答えるように口を開くエルザ。
「この世界の召喚システムは大雑把でな。あの方は真なる勇者のついでに召喚されていたことに気付いた」
じゃああの時兄貴の近くにいた俺もついでに巻き込まれたって事なのかな?
本当に大雑把らしい。
「彼が嫉妬深いのは知っているだろう?彼はその真実を知って闇に堕ちた。表ではあれだけ善人ぶっていても裏ではこの有様さ」
ポツリポツリと語り出すエルザ。
だがやがてその口も閉じた。
「私から話せるのはここまでだ。アシュレイが亡くなったのならば彼がこれ以上何かをすることは無い」
だが、何がどこで待っているか分からないぞと口にして俺を見送るエルザ。
最後に、と俺の背後から聞こえる声。
「この王国は弱小国だ。吹けば飛ぶような存在だったがここまで存続できたのはアシュレイや国王の存在のおかげ。それがいなくなった今どうなるだろうな?」
その言葉を受けて俺はとりあえずレイリアにその事を報告することに決めた。
彼女にはさっさと王位を継承してもらって国をまとめて欲しいところだな。
◇
翌日。
レイリアが王に即位した。
レイリアに待っていろと言われたので庭園のベンチで休んでいると
「ミズキ」
アーシェがやってきた。
「迫真の演技だったよ」
「そ、そんなことないよミズキだって」
そう言ってアーシェは俺の手を取ってきた。
「ねぇ、結婚してよ」
「いいよ」
俺がそう言うとサーシャ達が寄ってきた。
「ずるいですー。私とも結婚してくださいー」
「わ、私ともして欲しい」
サーシャどころかシズルもそんなことを言ってきた。
えぇ……?
まじで?
別にいいけどさ。
そう返事をすると
喜びだした2人。
俺には何でそんなに喜べるのかがよく分からないけど。
そんな風に思いながら俺は思う。
また、ハーデス達にもお礼でも言いにいかないとな。
こんなふうに育ててくれてさ。
ありがとうって。
異世界転生したら親に無能と追放されましたが神々に溺愛されて育ったので異世界生活を楽しもうと思います。そのスキル、俺ならこう使うかな にこん @nicon
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