第14話 黄金色の道



銀杏並木が太陽の光を浴びて

木漏れ日が並木道を照らせば

黄金色に歩道が輝き出し


美術館の前で立ち止まった

薄いコートを羽織ったあなたは

誰を待っているのか


風が吹き

落ち葉が舞い上がる音に

あなたは思わず振り向き笑顔を浮かべるけれど

待ち人が来たのだと勘違いをしたようで

また俯いて赤い煉瓦の壁にもたれ掛かる


目の前にある広場では

真っ赤に染まった木々が

いつの間にか葉を落として裸になったようで

賑やかに囀っていた小鳥達も

今は居ない


黄金色の季節

寒い風を待つ季節

温もりを待つ季節

愛する人を待つ季節


白い季節は

そこまで来ている




  了

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黄金色の季節 織風 羊 @orikaze

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