君のなかへ、幾千の夏をこえて

電撃小説大賞、4次選考通過作。完全改稿版。

【あらすじ】
　令和１８年８月、ある法律が成立した。
　自殺管理法。
　十八歳以上の成人は、
　自殺を希望するとき、
　政府の管理施設で自殺することができる。

　日本社会は──自殺を公認した。
　死にたければ、
　政府の管理施設で、即死薬を血管に注入して、
　眠るように、死ねる。
　
　令和１７年の夏。
　三人の高校二年生が、自殺管理法について考える。
　自殺管理法をテーマに、
　文化祭で発表する、代表者に選ばれたのだ。

　反対派は、上杉令也（うえすぎれいや）
　中立派は、小嶋平八郎（こじまへいはちろう）
　賛成派は、今井雪（いまいゆき）

　夏休みに、三人で自殺管理法について議論する。
　上杉は、反対だと論ずる。
　中立派の小嶋は、
　安楽…続きを読む