部活帰りはハンバーガーとポテト

おきた狂

ある男子高校生達のお話

「今日もお疲れい!」

「おつー。」

ハンバーガーショップの一角でコーラとコーラで乾杯する。

「うわーめちゃ美味そう〜!」

「だな。」

あきらは目を輝かせてハンバーガーにかぶりついた。なつきはそんなあきらを見てふっと笑いポテトをつまむ。ポテトをもぐもぐしながら不意にあることを思い出す。

「そういえば。」

「ん?」

「彼女とは上手くいってんの?」

「ブフォ!」

あきらは危うく口からハンバーガーの破片が飛び出しそうになるのをなんとか抑えた。

「なんで付き合ってるの知ってんの!?」

「そりゃお前の様子見てりゃな。」

「そんなわかりやすいか?なつきくらいだよ、知ってるの。」

「まぁ結構長くいるしな。」

あきらとなつきは近所で母親同士が旧友であったので赤ちゃんの頃からの幼なじみである。あきらは顔を赤らめながらおずおずと尋ねる。

「彼女…誰かもわかってんの…?」

「うん。」

「まじかよー!」

頭を抱えたあきらをチラリと見やりながらなつきはポテトをまた摘んでる。

「みれいさんだろ。」

「うおーー!言うなってー!!!」

あきらは茹でたこのような顔になりながら叫ぶ。その様子を見て、なつきは思わずふふっと笑った。そんななつきを睨みつけて不機嫌そうにあきらは言った。

「なつきは好きな人いないのかよ。」

「いないよ。」

「即答かよ。」

不満そうな顔をしながらあきらはまたハンバーガーを食べ始めた。なつきはポテトを食べる手を止め、あきらに向き直った。

「あきら。」

「ん?」

「彼女大事にしろよ。」


 あきらは惚れっぽい。優しくされるとすぐ惚れる。

 なつきはそんなあきらを利用しようとする女子達が大嫌いだった。

 なつきはイケメンであったため女子達にモテた。しかし普段あきら以外と深く関わりを持たない。そのため女子達はあきらを通して接点を作ろうとした。あきらと仲良くなり付き合うことで相談相手という名目上で連絡先を聞こうという算段だ。最初は真に受けて連絡先を交換していたが明らかにこちらに好意が剥き出しでしかも「2人で話したい」などと2人きりの環境を作ろうとしてきた。しまいには「なつきくんのことが好き!」と言われる始末だった。

 そこからは相談相手として連絡先を聞かれても断るようになったが、その次の日に振られるあきらを見て心を痛めていた。

 最初、みれいも同じタイプかと思った。

 みれいから直接あきらと付き合った旨を伝えられたからだ。だが続けて彼女は、

「私とあきらくんでもし喧嘩があったときにあきらくんの相談相手になるだろうからどんな子か知ってもらわないいけないかなって。」

と真剣な瞳で言ったのだ。

 彼女はあきらを真に思ってくれているんだとしみじみと感じた。

「みれいさん、あきらのことよろしく。」

 その言葉に応えるようにみれいは力強くうなづいた。


「ごちそうさまでした。」

「月見バーガー美味かった〜!」

 ふと窓を見やると信号待ちしている女の子の姿見えた。

「あれ?あそこにいるのって…。」

「みれいちゃん!」

 あきらは素早く反応した。が、なにやらもじもじしてる。

「なあ。」

「いってこいよ。片しとくから。お代はまた明日徴収する。」

「なつき〜!ありがとう!恩に着るぜ!いってくるわ!」

 そう言ったと思った瞬間、風のように軽やかにみれいの元へ走って行った。

 やがてみれいと合流し、初々しく2人で駅に向かって行くのが窓から見えた。

 なつきはその様子に顔を綻ばせポツリと呟いた。

「お幸せに。」

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部活帰りはハンバーガーとポテト おきた狂 @Soms-05

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