エピローグ
「なあ、知ってるか? この小説」
「いや、知らないなあ。なにそれ?」
「AIが書いた小説の、初の出版作なんだよ」
「あー、たしかD文庫が出版したってニュースで見たことあるな。それって面白いの?」
「んー……機械が書いたにしては、様になっているとは思うよ。内容がだいぶ変だし、救いがないんだけど、非人間が書いたんだと思えば不思議と味があるんだよなあ」
「へぇ、そうなんだ。面白いなら俺も読んでみようかな……。ちょっと調べるからさ、題名見せてよ」
「はいはい、カバー外すから待ってな。……ほれ、これだよ」
「ふーん……変わった題名だなあ」
「『読めば、わかるよ』って言うんだ。おかしな名前だろ?」
「……。調べてみたけど、頭のおかしい小説家の少年を、二人の女が取り合う話か……。そういうの、AIが書くんだな……」
「だよなー。たぶん、このAI作ったやつ……相当歪んだやつだよ」
「今日、仕事終わったら買いにいくわ。ちょうど帰り道に通る歩道橋のそばに、小さな書店があるし……」
「え、そんなところに書店あったっけ?」
「うん。くるや書店って言うところなんだけど。そこがフェアしているみたいだから、他の本もついでに買っていくよ。教えてくれてありがとう」
「……」
「どうした?」
「なあ、その書店の近くって喫茶店ってあったりする? チェーン店の……」
「ああ、ドトールがあるな。そういや前に話題になったことがあるんだよなあ、あそこ」
「話題って……?」
「なんか、昼ドラみたいな修羅場があったって動画がバズってたことがあって。女子高生たちが男のことでめっちゃ激しく言い合ってて、凄かったらしいぞ。……一時期話題になっていたけど知らなかった?」
「……」
「……どうした?」
「いや、なんでもない……」
「ん? なんか顔青くなってないか? 大丈夫?」
「気にすんな、なんでもない。読めば、わかるから……」
読めば、わかるよ 浜風ざくろ @zakuro2439
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます