ボーイミーツガール、いや、ガールミーツボーイから始まる物語。
色彩のない世界で生きる少女は、感情を持たない少年と出会う。
そして旅へ。
「色」と「感情」、そして失われた「記憶」を取り戻すために。
確固としたログラインがあり、ストーリーが迷子にならず安心して主人公たちの物語を追っていける。
中心の二人だけならず、二人を取り囲むキャラクターも性格がわかりやすくとても魅力的。妖精さんも可愛くて癒されるが、推しはやっぱりラス! ラス大好き!
優しいだけじゃない、生きることの難しさ、辛さ、そして何より、感情を持たないゆえパステルの純粋な気持ちがセオに伝わらない切なさに、胸が苦しくなります。けれど、この物語の行く末には、美しい結末が待っているはず。
色が戻った時、彼女はどんな世界を目にするのか。
その情景をこの目で確かめてみたい。
第一章、読了時のレビューです。
主人公パステルは不幸な境遇の少女です。自らの運命を受け入れきれぬまま、心を閉ざして世間を斜に構えてみています。彼女の聡明さと若さ故の怒り、そのアンバランスさもまた『欠け』なのです。悲しいかな、彼女はそれを自覚しています。
そこに現れたのがセオでした。
彼女は初めて年相応の少女らしい反応を見せるようになります。この流れが素晴らしい。
ラスと言う少年の出現により、物語は大きく動き出す事になります。飄々とした態度の下に何かありそうなラス。
しかし、パステルは『欠けたもの』を取り戻す旅に出ます。
セオとパステルの過去に鍵がある。
そしてその鍵は、感情の『欠けている』セオが持っている気がします。
これ以上はネタバレになるので控えますが、既に「あれ?」と言う人物がチラホラ…
冒険ファンタジーでありながらも、ミステリーやサスペンス要素を含む作品です。作品構成が非常にしっかりしており、引き続き読みたい作品です。