over the rainbow 色彩豊かな感情はそれだけで魔法。

まるで、児童文学を発掘したような珠玉のファンタジーワールドがつまっていました。

虹色の髪を持つ子爵令嬢、パステル・ロイドは、色を見分けることができまない。そんなパステルの元に、ある日、突然空からセオと名乗る少年が降ってきた。セオは、感情を持たず、何処から来たかも分からない不思議な少年で――。

そんな、パステルとセオの色彩とココロのを巡る物語。
個人的にはボーイミーツガールというだけで、テンションが滾ります(^^ゞ

色を視えない少女。正確には、色を記憶とともに、落としてしまったパステルと。
ココロ――感情の意味が理解できない、セオとの微笑ましい邂逅。

読み進めながら、純粋な感情を思い出してしまいました。
考えてみたら、なんですけどね
最初からみんな、何もできないし。何も分からない。感情を破裂させたり、触れたり、ぶつかっては、抱きしめたり。そんなことの繰り返しで、みんな大きくなるんですよね。

同じように、分かったふりでいる大人も一緒なのかもしれません。本当に大事なことを忘れて、色が視えなくなっていないだろうか。

この物語のパステルとセオは、打算なんか感じさせないくらい純粋です。
相手を思う気持ち。自分が何ができるか。その今できる全力でぶつかっていく。

もしかしたら傷つくかもしれない。失っちゃうかもしれない。それでも、恐れずに。そんな二人の姿に、胸を打たれるのは、読者だけじゃないはず。


色が視えないのはパステルなのか。
僕らなのか。
登場人物達なのか。

それぞれの色が攪拌されて、混色されて、キャンバスに思うがままに塗られていく、物語はこんなにも暖かい。
色彩豊かな感情はそれだけで魔法なんだって、思わせてくれます。


現在、このレビュー執筆時点で、第2章終了間近。色を求める旅はまだまだ続きます。

この美しい世界に触れてみませんか?
読者の数だけ、きっとこの色彩は増える。
そんな旅が待っています。

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