第17話

やばいと思い、急いで片付けをして受付の司書に公衆電話の場所を聞いて出た。玄関すぐ横にあるとの事で見たら本当にあった。色々考え事をしながら歩いてきたので気づかなかったのだろう。

自宅に早速電話、2、3コールのうちに電話に出た。


「あ、母さん。ごめん。今日なんか熱っぽくて。で、その、家帰ると母さんにうつすのもアレだしさ、その、勉強はしないと、ほら、受験前だから!そう、受験前だから図書館で勉強しながら静かに過ごしていようと思ったんだよ。」


「そうなのね。病院へは行ったの?」


「え?!あー、行ってないけど、ちゃんと学校には連絡したし、ちょっとだと思うから大丈夫だよ!」


「だめよ?風邪ではなくインフルだったら人に移るから。体温計の使用された形跡もないし、一度保険者証取りに戻って来なさい?」


やばい。体温計のことなんて頭になかった。母さん鋭すぎる。

どうする、ここで戻れば体温を計って「熱ないジャーン!」みたいなことを言われてしまったら、せっかくの違う勉強の妨げだ。

いつも僕の部屋はドアを閉めないから閉めたら怪しまれそうだし、一体どうすれば良いんだ?


「どうしたの?戻っていらっしゃい?」


「ひ、人殆どいない席、あるから、大丈夫。」


「そこに飛沫が飛んでいたら貴方感染するわよ。空気感染ではないもの。」


「ひまつ?え?」


「要するにくしゃみをしたあと多少の口内水分が飛ぶじゃない?それが机に付着していて触って鼻などの粘膜と接触するとインフルになるのよ。」


「へーそうなんだ。あー、でも、ちゃんと手を洗ってからご飯食べたりするから、大丈夫だよ!じゃ!!!」


なんだかよくわからないがねじ伏せられるのではないかと無駄な直感が働いたため、電話を切った。

こうなったら図書館って言ってしまったから図書館に来てしまうかも知れない。この場を離れよう。

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「こんにちは、過去のヒト」 平良佳子 @syoko8711

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