4日目

第16話

「あっさでっす、あっさでっす、あっさでっすよー!」


ドラえもんの目覚まし時計が鳴った。

鳴ったけどもう目は開けている。というより中途覚醒が凄すぎて熟睡なんてできやしなかった、が正解だろう。

なんていったって今日は決戦(?)の日だ。

私服に着替えて護身術と精神分析の本をカバンに入れた。昨日買ったSONYポータブルラジオとイヤフォン、以上。


「逝ってきます。」


そんな思いで重たい集合住宅のドアを閉じた。

最期に母さんの顔くらい見たかったけど、まあ致し方ない。むしろ見ないでおいた方が顔がチラつかず、その時を迎えれるかもしれない。


て、なんでそっちのことばっかり考えているんだ!僕は死なない。生きて帰るんだ。そのための色々を昨日やったのだから。嘆くのではなく、「絶対に相手も僕も死なない」を遂行する。

目を閉じて深呼吸をし、ゆっくり目を開けて階段を降りていった。


まずは学校に休む連絡を入れるために公衆電話により、引いてもいない風邪のふりをして欠席を確定させた。


「受験シーズンだから早めに治せよ?」


「はい、大事な時にすみません。では。」


家庭内事情を知っている担任だからこそ、僕が電話をしてもバレなかった。

次に図書館へ移動。足りない用途があれば一石二鳥だ。

ただ妄想でしか護身術が出来ないのでそこが問題ではある。もうしょうがない。

人気の少ない所に座ってひたすら頭に叩き込んだ。時たまトイレに行き、実際の組手を考えながらやってみては戻り、読んで、またトイレに行くという、ちょっと変な行動をした。

一旦休憩と思った矢先、ポケベルが鳴った。


要約すると「何してる?学校は?」だ。


母さんからだ。仕事が終わって帰ってきて制服があることに気づいたのだろう。

制服で来ればよかった。


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