「ぼくの仲間になってよ」から始まる伝説の冒険譚　〜勇者のお願いなんだから、まさか断ることなんてないよね？〜

　始まりの町――イヨークはそれなりに栄えていた。町の大きさはこの世界の上から数えて1、2、3、4……、きっと両手には収まり切る順位だろう。それだけ大きくても名産品は特になし、名物と言えばひとつ変わったものがあるが、イヨークならではの物品はやはりない。それでもこの町がそれなりに発展していたり、『始まりの街』なんて呼ばれるのには地理的に世界の中心に近いなんて理由があった。
　イヨークにはどの町や都市にも繋がっている交易路がある。それだけで商人やら冒険者が集まる所謂交易都市として栄えていた。

　今日もまた始まりの町に冒険者がやって来る。当然、冒険者は流れの者だ。冒険者は大抵、仕事か仲間を探しにイヨークに立ち寄る。

　そんな例に漏れないひとりの冒険者がイヨークの町中で不思議そうに眉を顰めていた。…続きを読む