第4話 王子様と言われるK君の真実
「あのすごいピアノが上手な男の子、王子様みたいですよねー!また今年もコンクールに挑戦されるんですか?」
王子様みたいなお子さんとはK君のこと。
「ピアノを弾いているところだけを見ると王子様に見えるんだ‥。」
ある保護者さんがK君が年長さんの時に発表会で弾いたブルグミュラーのアラベスクを弾く姿を見て王子様に見えたそうで、きっと発表会の会場にいたK君のご家族とご親戚以外の全ての人が「ピアノが上手で品のあるステキな男の子」だと思ったことでしょう。
レッスン中にヨダレが垂れたり鼻糞をほったり、足が臭くて足を洗ってからピアノを習いにきたり、次の曲に進みたくなくて合格にしないでと騒いだり、お手本を弾いてる私をお母さんが録画していると必ず声を出して邪魔をするし、飽きるとすぐにお母さんの膝にドカッと乗って抱っこしてもらったり‥。
お母さんは小さい時からレッスン中にふざけると
「今日のご飯は抜きにするよ!」と脅していました。
エッセイ「バーバラの気持ち」で書いた「マーブルチョコ6個のご褒美」の親子はK君たちのことです。
今でも
「チョコ減らすよ!」と脅しながらレッスンをしています。
レッスンが済んで本当に目の前で二つくらい食べて減らしたこともあります。
小学二年生になってだいぶお利口さんになりましたが、小さい頃はレッスンに来るなり、うちの家の物を勝手に触っては叱られを繰り返していました。
「他所のお家のものは勝手に触ってはいけません!これを貸してください、とかこれに触っていいですか?って聞いて、私がいいですと言うまで触れません。わかりましたか?」と毎週言い聞かせていました。
4才のK君「先生、これ貸してください。」
すでにお掃除の粘着テープコロコロを手に持っています。
私「レッスンが済んだら少しだけコロコロして良いです。」
「えー?今したいのに!」
K君、もうカバーを取ってしまって
「ああ、取れた。」とか誤魔化します。
お母さんが取り上げて
「先生が後っておっしゃったでしょ!」
みたいな事ばかり毎週繰り返して大きくなりました。
小2の今はレッスンが終わった後、
「練り消し貸してください。」と言い
「はい、どうぞ。」と言われてから私の筆箱から取り出して机いっぱいに練り消しを引っ張って混ぜくってます。
もう私は使いたくないのでK君の専用練り消しになっています。
手垢がたくさん練り込まれていそうで‥。鼻糞も‥。
ね、王子様!
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