第3話 水鉄砲のためにコンクールに出るK君

 二年生になった時、K君は一年生の時に入っていた小学校の留守家庭放課後児童クラブを行きたくないと言い辞めました。


 そのせいで夏休みは習い事がない日は朝から夕方まで公園で遊んで(お昼はK君とご飯を食べるために家にお父さんが帰って来る)クタクタになりピアノの練習をするためにピアノの前に座ると眠くてコックリコックリとし始めて全く練習にならずお母さんが怒ってしまい、夏休みの外遊びは午後からの決まりが出来てしまいました。


 コンクールに出て欲しいお母さんとコンクールには出たくないK君。

 夏休み半ばに最初のコンクールが終わり、まずまずの結果だったのでご褒美に大きな水鉄砲を買って貰いました。

 そして買ってもらったその日のうちに公園で友達に貸して壊してしまいました。


 次のコンクールに出て欲しいお母さんですが、直ぐに壊すからもう水鉄砲は買いたくない、でもコンクールには出てほしい、どうしたらK君がコンクールに出てくれるか。


 私はお母さんとK君に提案しました。

 コンクールに出るなら、うちにある古い水鉄砲をあげると。昔次女と遊んだ古いけれどタンクが付いていて大きくてカッコいい水鉄砲が捨てずにありました。


 2人は喜んでK君はコンクールに出る気になりました。

 ところがこの水鉄砲、K君が家で使ってみると壊れていて水が出なかったのです。修理しようにもK君の家には水鉄砲の修理に使える小さい工具が無かったようで私が修理することにしました。


 夏休み、近所に住んでいるK君は水鉄砲とピアノの本を抱えて1人でやって来ました。

 サッサっとレッスンが済むように

「ちゃんとやらないと水鉄砲の修理はしないよ?」

 と脅し、お喋りなK君が途中でベラベラと話し始めて止まらなくなると再び同じ文言で脅しました。


 無事にレッスンが終わり、K君に水鉄砲の小さなネジを外すのを手伝ってもらいました。(小2にしては上手)

 そして、目の前で大きな水鉄砲を分解して潰れたホースを補強しズレないように瞬間接着剤をつけた後に紐で縛り、カバーを元に戻してまたK君に小さなネジを止めるのを手伝ってもらいました。私が1人でやった方が早いですが、なかなか経験出来ないかなと思い手伝ってもらいました。K君の目はキラキラしてて私も嬉しかったですよ。


 水鉄砲は見事に復活して玄関の外に出て水を噴射してみると飛ぶ飛ぶ、5mくらい先まで水が飛んでいるように見えました。

 これは楽しいでしょうよ。


 水鉄砲に釣られてコンクールに出てしまうK君、実はピアノが弾けることを学校では内緒にしています。


K君「だって僕、ピアノが似合わないから笑われるよ?」


私「そんなことないよ。意外過ぎてむしろ凄いって褒められると思うよ?」


K君「いや、ピアノで人に褒められる必要はない!」


小2ですよ?

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