ピアノの先生してていい？ いいよ〜！

第2話 砂がザラザラと湧くK君の足

　K君はうちにピアノを習いに来ているお子さんの中で1番ピアノなんてどうでもいいと思っている感じのサッカー少年なのですが、お母さんのお陰で本人の意思に反してピアノがわりと上手です。

　そのK君がレッスンに来ると何故かピアノの足台（背が低いお子さん用の黒い台）の上が白くなってしまいます。触るとザラザラ。

　男の子のお子さんは大抵、外遊びをすると砂と一緒に帰って来るイメージですが、何故か足台だけがザラザラと白くなります。

　うちは台所がピアノ教室です。

　大人は玄関でスリッパを履いてもらいますがお子さんは靴下のままです。

　神経質なお母さんは気を遣い過ぎて玄関で靴下を履き替えさせたりします。

　割と放任主義のご家庭のお子さんがレッスンに来ると台所も砂でザラザラすることもあります。

　K君は一人っ子ですが、ご両親はフルでお仕事をされているので良い塩梅に抜けがある感じの子育てをされていると感じています。

　と言っても一人っ子なので毎日ピアノの練習を見てやれるのでしょう。割と管理されているのでキチンとしているお子さんのイメージです。（本人の性格は自由奔放）

　私は不思議でした。

　何故、K君が来た時だけ足台が白くザラザラになるのか？

　それは２ヶ月ほど続きました。

　私はレッスンの途中でまた白くなっていたので、とうとうお母さんに言いました。

「K君が来たら足台がザラザラで白くなるんですよ。ほら、触ってみてください。」

　するとお母さんは驚いて足台を触り言いました。

「え？？そんなはずは！ホントだ！えー？うちの子、足が臭いので毎週、家で足を洗って靴下を履き替えてから来てるんですよ。なんでだろ？」

　それを聞いて私もびっくりしました。

　それなのに砂が？

　しかもそんな気を遣っていただけているとは。

　「不思議だねー。」と３人で言いレッスンを再開しました。

　K君が弾き始めてしばらくするとお母さんが

「あっ、わかりました！！靴です！」

　とキッパリと言いました。

K君「そうかもね。でも僕は気が付いてないよ。」

お母さん「いやいや、鈍感過ぎるわ‥。」

私「まぁまぁ、原因がわかって良かったじゃないの。」

　なるほど！公園で遊ぶ度に靴の中に砂が入ってしまい小さい頃ほど靴の表を汚すこともないからお母さんも気が付いてなかったということでした。

　靴の中で細かい砂が靴下に付き、スタスタと歩いて通る台所にはわからない程度の砂が落ち、30分のレッスンで座って過ごす時に足を足台の上でモゾモゾと動かすので足台に砂が沢山落ちて白くなるということだったのです。

　台所に落ちた砂は靴下やスリッパを履くので気が付かなかったのでしょう。

　サッカー、スイミング、ピアノ、塾に大忙し、そして実はガキ大将かもしれないK君の話はまだ続きます。