◉かっぽ、かっぽ、闊歩。(⚠︎︎文字数少なめ、ごめんなさい)

アキサメ達がガンドリック氏を訪ね、ルーチェが魔力制御を習い、ロイロとウェネトが作戦会議悪巧みをし、セルジュが挽きたての珈琲に舌鼓をうっていた頃。


ヘケトの街の大通りを一本奥に入った通りを練り歩く珍妙な格好の童女がいた。


「かっぽ、かっぽ。妾が通るぞ、道をあけぇい♪」


ここに地球人勇者達が居たならば、作務衣姿や背中に背負っている大きな瓢箪に驚きを隠せないだろう。

頭には可愛らしいツノがぴょん、と生えておりその赤い髪はおかっぱに切り揃えてある。

小さい手には小枝を持ち、ご機嫌にブンブン振り回してニッコニコ。


「珍妙なところよなぁ、イセカイとやらは」


周りの人々からすれば、『君の方がね』と言われるだろうが、本人はそんなことお構いなし。


赤い鼻緒の高下駄を、かっぽ、かっぽ。


偶に気になるモノを見つけてはジッと見つめて小枝で、ツンツン。


ふらり、とアッチにいけば野菜売りのおばちゃんと話をして小さな蜜柑(のようなもの)をもらって、『さんきゅーじゃ』と。


コッチの路地裏で野良猫を見つけては、『でたなロイロマオーの手先めッ』と小枝で闘いを挑む。


「なんぞ面白きことなど落ちておらんかのぅ」


なんて呟いたものだから。


言霊となりむこうからやってくる〈面白いこと〉。



ーーー誰か、誰か母ちゃんを助けてよ!


ニヤリ、と可愛らしい口を歪ませた童女は練り歩く。


かっぽ、かっぽ。


かっぽ、かっぽ、と。




「どれどれ、妾に話してみせい、童よ」


と、わくわくドキドキを潜ませながら目を爛々とした童女が言う。


「この酒呑童子が娘、あららぎが聞いてやろうではないか」


と。






「あれ?ランランはどこ行ったニャ?酒呑童子おやじさんから酒のちょーたつ頼みたかったニャ」

「また勝手にパクったら追いかけ回されるのでは?絶対ヤバいピョン」



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お喚ばれ商人は、異世界を気まぐれに物語る。 時雨(旧ぞのじ) @nizzon

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