どんな危険だって、どれほど深い後悔だって、君と一緒なら乗り越えられる

天空で行われる派手な空中戦。丁寧な心理描写。軽妙かつ重厚なコンビ関係の描写に脱帽です!
以下、簡単なあらすじです。

空に浮かぶ都市『彩雲』。
人類が新天地として選んだその天空都市はリゾートとして発展していた。
だが、あるとき上空に機械を食らう異形、天空鬼(スカイデーモン)が出現したことで地上との繋がりが途絶えてしまう。
『彩雲』に住む人々が地上に行くためには、危険な天空鬼の住む空中を通って降下しなければならない。
その『彩雲』で、ヒダカとタイクウはその彩雲で運び屋〈藍銅鉱〉を営んでいた。
今回の依頼人は御笠夕陽。父が亡くなってしまい、夕陽は地上に行くことを望んでいるが……

主人公の青年二人は運び屋ですが、いったい『何を』『どこへ』運ぶのか。
まずそこからこの物語の特徴があります。舞台を巧みに活かした設定でグンッと物語に引き込まれます。

個人的に凄いと思うのは、舞台である空に浮かぶ『彩雲』の描写。
光合成を効率良く行うための街路樹。そして地上との繋がりが途絶えたため、お菓子や酒、鮮魚や肉、そして嗜好品が手に入りづらいという設定。
こうした細かい設定が特異な舞台に臨場感を与えてくれます。

そして! この物語の最たる特徴は、ヒダカとタイクウが天空鬼を相手に繰り広げる空中戦です。
自由に空を飛び回りながら戦うバトルは某ド○○○○ールなどで目にしますが、本作の空中戦は空から地上へと降下しながら行われるのです。
これはかなり斬新な設定だと舌を巻きました。

派手でありながら精緻な描写により、華麗な空中戦が目に浮かぶように楽しめます。
命のやり取りをしているなかでもヒダカとタイクウの洒脱な会話にも笑いを誘われ、素晴らしい出来に仕上がっています。

さすがの一作。お見事です!

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