代えがたい響き「あんづます」

 あんづます(あずましい=心地よい)という言葉の響きや表現力は、津軽衆にとって何物にも代えがたいものです。


 東日本大震災から7年になりますが、2012年3月、それまで勤めていた弘前市の医療機関を離れて「医療で震災復興プロジェクト」に参加、訪れた岩手や宮城の沿岸地域でも、私はずっと使い続けてきました。


 陸前高田市で過ごしたころ、仮設住宅で開いた健康教室では気仙語と私の津軽弁が自由に飛び交っていました。

 方言で語り合った友人たちとは、同市を離れた今でも交流が続いています。



 人々の触れ合いから生まれる、安らぎに満ちた雰囲気を意味する「ヒュッゲ」というデンマーク語を初めて聞いた時、すぐに「あんづます」のことだと直感できました。

 ちなみにデンマーク人は世界で最も幸福な国民として、何百年もの間「ヒュッゲ」を楽しんできたそうです。

 その幸せの秘密は「ヒュッゲ」によってもたらされる安心感だと紹介されています。


 外が吹雪の夜でも、温かい風呂に入って思わず出る言葉は「あんづます」です。

 家族団らんで、じゃっぱ汁を食べるのも熱燗をやるのも、もちろん「あんづます」。

 一人で過ごす至福の時、これも「あんづます」であり、「ヒュッゲ」に違いありません。

「あんづます」と繰り返す私たち津軽衆は「ヒュッゲ」を実践してきた幸せな日本人なのかもしれません。


https://kakuyomu.jp/works/16817139558822231242/episodes/16817139559125227064

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🍎 津軽から気仙へ 🐡 医師脳 @hyakuenbunko

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