第5話 ピュピュゥ
俺は今家の庭でピュピュゥと一緒にいた
「俺の肩をがっしり掴むんだ」
なかなかやってくれないのでジェスチャーをしながら説明する
すると
「そうそうそうだよ」
ピュピュゥが俺の肩をしっかり掴んでくれた
「よし!いいぞ
その調子だ」
「そっから羽を広げて空に飛ぶんだ」
「こういう風にゆっくり上にな」
再びジェスチャーをくわえながら空を飛ぶような動作をするとピュピュゥが羽を動かし空を飛び出した
「うおっ」
浮遊感に少し驚いたが楽しい
「これはなかなかいいな」
味わったことのない感覚に感動し目をつむっていたが少し嫌な予感がする
「おい待て高すぎんだろ」
「そうじゃねえよ
何でだよ!?」
俺の住んでる校庭は5階建てだがそれよりはるかに高い位置まで飛んでる
「降りろ降りろ
死ぬってこんなとこから落ちたらヤバイから
加減を知らねぇのか!?」
生まれたてのこいつが知ってるはずはないが
あまりの高さについつい八つ当たりをしてしまった
微動だにしないので何度も下を指さしていると
「ピュゥ!」
突然先ほど感じていた以上の浮遊感を感じた
本能に従って手を伸ばしピュピュゥの足を掴む
「やべぇ死ぬって」
甘く見てたな
ゲームではボタンを押したらそのままいい感じの高さまで飛んでくれたんだが当てが外れた
「ちょっとずつだ
ちょっとずつ降りていってくれ」
祈るようにそう言うとピュピュゥが少しずつ高度を下げて行ってくれた
「ふーー
死ぬかと思った」
ビュ─────────────
ビユ──────────────
「強風!?
タイミングが悪いな」
ピュピュゥはまだ飛ぶのに慣れていないようでとても不安定になっている
かろうじてピュピュゥの足の爪を掴んでいたんだがどんどん滑っていく
「うぉっ」
遂にピュピュゥの足を掴めきれなくなり落ちてしまった
「ぐぅ」
プールはどこだ
「プール……は?」
くそっ家の反対側か
どう考えても届かねぇ
ここまでか
諦めて目を瞑る
まだ厳選が……まだロマンを追い求めた俺の戦術は完成してないのに……
ガシッ────
凄まじい速度で落下していたんだが急にとんでもない力で肩を掴まれる
小さい頃に友達からイタズラで肩のマッサージを受けた時と同じような感じだ
「ピュピュゥ!?
ナイスだ!
助かったよ」
「ピュゥ!」
先ほどまでと違い滑空するように飛んでいる
ゲームで見た時と同じような飛び方だ
そのまま滑空すると安定した状態で地面に着地した
「流石ピュピュゥだ」
頭を撫でてやると喜んだ様子で体をくねらせている
「今回は無理言ってごめんな
これからは気を付けるよ」
「ピュピュゥ」
これからはこの相棒と一緒に厳選しよう
「あ、そうだ」
スキルオーブを与えるのを忘れていた
スキルオーブを差し出すとピュピュゥはなんのためらいもなく噛みついた
しかしスキルオーブが壊れることはなく赤く光りだした
そしてスキルオーブに文字が浮かんでくる
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
名前:ピュピュゥ
種族:フライバット(1)
体力
200+100
スタミナ
51
筋力
40+20
敏捷
43
重量
67
先天スキル
吸血、飛行、滑空
後天スキル
吸血、体力上昇、筋力上昇
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
スキルオーブはその中にスキルを内包している
そのスキルを上にモンスターが噛み付いたりするとモンスターがスキルを吸収しスキルオーブは一度役目を終える
しかしスキルの消えたスキルオーブは最後に接触したモンスターのステータスを表すようになる
孵化作業のおかげで後天スキルの体力上昇と筋力上昇を憶えている
これらの効果はそれぞれ特定のステータスを1.5倍にするというものだ
そして今回与えたスキルオーブの能力である吸血を覚えている
一見先天スキルにも吸血があるから覚えさせなくていいようにも思えるが実際フライバットを使う上では必須のものとなる
フライバットに吸血スキルを二つ覚えさせることで主人が貧血に陥ったときに輸血をしてくれるようになる
そしてステータスもフライバットの平均を遥かに越えている
これはゲームの中でも見なかったほどの個体だ
将来が楽しみだ
ゲーム世界のモブに転生した俺はロマンを求める 働き蜂 @takutoandkuma
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