試験1日目 試験準備 2

「自己紹介も終わったことだし、今度はグループの作戦を考えよっか。」


「そうですね。俺も賛成です。そのためにも、改めて茶封筒の中の物を確認しましょう。」


 新宮君はそういうと茶封筒の中身をすべて取り出し、机に広げた。


 そこには、A4サイズの用紙が100、ハサミが1、鉛筆が2、10000G(ゴールド)と書かれた紙幣が30枚、加工マニュアルが2つ入っていた。


「加工マニュアルの内容を確認しましょう。」


 僕は言われたとおりに加工マニュアルを開き、内容を確認した。そこには以下のことが書かれていた。



〇加工マニュアルA


・形:    50mm × 100mmの三角形

・単価:   1200G

・必要道具: 鉛筆、定規、ハサミ


〇加工マニュアルC


・形:    30mm × 30mmの正方形

・単価:   400G

・必要道具: 鉛筆、定規、ハサミ



「あれ?俺らのグループは定規をもってなかったはずだよな?加工マニュアルに載っている形の2つとも作れないぞ。」


「そうだね。私達のグループが持っている道具だけならね。」


「.....どういうことだ?」


「つまり、他グループが所有している道具を使用すればいいということですよね。一門さん?」


「その通りだよ新宮君。相手にもメリットがある契約なら道具を手に入れることもできるんじゃないかな?」


 確かに可能だろう。最初に支給されている道具はグループごとで違うはずだ。僕らのグループが定規を必要としているように、それぞれのグループにはそれぞれ必要となるものがあるはずだ。そこを利用すれば契約をすることも難しくはないだろう。


「問題はこちらから何を対価として払うかですが、今はまだ決めなくてもいいでしょう。そもそも対価を形があるもので要求されるかどうかもわからないので。」


 形以外の対価。つまりはハサミやお金等以外の物である。一例としては労働力が挙げられるだろう。決められた時間の間、相手グループへ人員を派遣させて働かせる。それを対価として差し出すというのはあり得る話である。


「定規以外で必要なものってありますか.....?」


「そうだね.....。お金は当然として、追加のA4用紙も必要なんじゃないかな。」


「100枚ならば、ほぼ間違いなく途中で尽きるでしょうね。加工品を売って資金を得るにはA4用紙の調達も必須事項でしょう。」


「A4用紙は金で買ったらいいんじゃないか?」


「お金で買えばその分だけ加工して得られる利益が減ります。一枚の用紙を加工して稼げるお金は大体25000Gほどなので、高くても1枚10000G。それ以上出すと用紙を手に入れるメリットが薄くなるでしょう。」


 マニュアルAで作った場合、用紙一枚で24000G。マニュアルBで作った場合、用紙1枚で25200Gとなる。大体25000G程だ。やはり新宮君の言う通り10000Gが妥当だろう。


「ひとまず用紙1枚の予算は10000Gということしようか。じゃあ次は.....国王について話をしようか。国王に我こそは!っていう人いるかな?」


「.....いないみたいですね。じゃんけんで決めるようなことでもないですし、話し合いで決めるのはどうでしょうか?」


「僕も賛成します。また話し合いの形式は、一人ずつ順番に意見を言っていくとするのがいいと思います。」


 皆賛成だったようで僕の意見で決定した。

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