最終話 結末

 残り1周。最終、2センター(3コーナーと4コーナーのあいだ)を選手達が駆け抜ける瞬間、観客から嘆き声が飛ぶ。選手同士が接触し、落車が発生したのだ。

「うわあああああああああああああああっ!!!!!転んだぁああああ!」と、絶叫して、アリサはその場に崩れ落ちる。

 その直後、赤いユニフォームの③番選手が一番でゴール線を通過。そして、桃色紫色のユニフォームの選手の順番でゴールする。


「これは派手に転んだなぁ・・・」

 競輪の神様も落車した選手を案じていた。一方、その傍らでは落車にショックを受けているアリサ。

「無い、無い、無い」と呟きながら自分の購入した車券を確認しているアリサ。

「ああっ!どうしても③番がない。⑧⑨は2車単であるのに、③が無い・・・」

 ショックを隠す気はない様子のアリサ。

「やれやれ・・・」と、掛ける言葉もない様子の競輪の神様。


 レース後、曇った空の下を歩くアリサと競輪の神様。

「落車は残念だが、キミのは、悪くないと思うよ」

 一応、アリサを慰める競輪の神様。

「だが、一つだけ。アリサ、キミはルール違反をしたね?」と、競輪の神様に問いかけられて焦るアリサ。

「私が何をしたっていうのよ・・・?」

 やはり、アリサには何かがあるらしい。


「キミ、決勝戦でこっそりで⑧⑨を買っていただろう?」

 競輪の神様の追求に無言のアリサ。

「まあ、から拠出されているんだし、問題ないよね?」

 神様の追求が図星だったアリサ。

「残念ながら、キミを失格と判定する」

「えっ!それって、どういうー」

 次の瞬間、アリサは眩い光に包まれた。



                ※※※※※



『ーということがあったのよ』

 妹・見事みことにメッセージを送るアリサ。

 今回の話の顛末を、妹に伝えていた。しかし、になっても見事からの返事がない。まるで屍のようだ。


「もうっ!見事ちゃん、また私の話を信じていない!」

 アリサは一人で拗ねて、ベッドに身を投げる。

 結局、気がつくと、いつもの自分の部屋。幸いにも、財布の中身は減っていなかった。無論、増えてもいないが。


「次回からは競輪の神様と、事前にルールの打ち合わせをしないと」

 自分にはが無いというスタンスのアリサ。


「待って!これって、次回もあるの!?」

 果たして、それはどうだろう?

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競輪の神様と非実在の競輪予想師2022 パート③「GⅡ 第38回・共同通信社杯」編 鉄弾 @e55ok3q777g1v5

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