第9話師匠へ
ネコの魅力に脳が破壊されながらも帰宅し次の採集の準備をしておく。
忙しさからずっと先送りにしていた果物を採集をそろそろしなければ。
今回向かう予定なのは街近郊の森。
しかし、キラープラントが大量発生した森とは逆側にある森だ。
こちら側の方が果物類の木が多く、冒険者や同じような採集師も多いため魔物が少なく安全だ。
キラープラントがいた側の森は水捌けが悪く雨が降るとしばらくは地面がひどい状態になるため人が少ない。
採集されていないので果物自体は多いがその分森を手入れする人間もほぼいないため果実の大きさが小さいのだ。
採集師や冒険者が多い森は自分を含め定期的に間伐を行うものがいる。
街近郊の森だとそれが顕著なため、森と言いつつ果物の質自体は『日本』の果実園にあるようなものだ。
野生種が欲しい場合はキラープラントのいた森のような人の手が入っていない場所がいいが、果実目当てなら断然こっちの森だ。
また先延ばしにしてしまう前に採集に行こう、明日だな!
思っていたよりもネコ喫茶にいたようで外はもう暗くなってきている。
魔道ランタンで照らされる部屋内はまだまだ明るいが、採集のために明日は早起きをするためもう夕食を食べて寝ないとな。
「お昼が多かったから今晩は軽めにしようかなぁ。」
なんとなくまだ胃にオムライスがいる気がする…。
夕食は堅パンを少し炙りチーズをかけて食べる。
もちろんこれだけだと体に悪いので畑で取れたレタスも食べる。
カリカリにしたリトルボアの燻製肉とキノコをレタスにのせたので今日はドレッシングはなし。
リトルボアの燻製肉が塩っぽいのでちょうどいいのだ。
キノコは街にあるキノコ農家さんのお店で買ったシメジ。
森で取れるものよりサイズが大きく食べ応えがある。
「ふぅ、今日も美味しかった!」
明日の採集は日帰りを予定しているので何もなければ夕食は家で食べられるだろう。
「明日からは野菜づくしだな!」
キラープラントの駆逐依頼で数日家を開けている間に大きくなってしまった畑の野菜たちを消費したいし。
お化けサイズになったズッキーニやきゅうりをなんとかして消費しないといけないのだ。
奴ら《きゅうりとズッキーニ》葉っぱの影に隠れてスクスク育ちやがって…美味しくいただきます!
でも、大きすぎるものは皮が硬くて生だと食べづらいためナムルとかにしようかな。
なんやかんや悩むことの半分くらいは食べ物な気がする…。気のせいか?
「うーん、師匠に手紙も出さないとだよな。
しばらく近況報告してないし…。」
枯れたキラープラントの地下茎も言付けもなく送ってしまったのですぐに手紙を送るべきだ…。
大量に手に入ったとはいえ高級素材であるキラープラントの地下茎を無言で送りつけてくる弟子…。
受け取る側の困惑する顔が思い浮かぶな…。
これは寝る前に手紙を書いて明日の採集前に出していこう。
キラープラントの地下茎の方が先に届くか、手紙が先に届くかわからないが送らないよりマシなはず!
ゆっくりお風呂に入ったあとテーブルで手紙を書くことにしよう。
手紙の便箋は採集した花を押しているものにする。今回は時期的にもラベンダーにしよう。
明日からもやることはいっぱいだ。
師匠へ
夏も半ばでそちらはもっと暑くなっていると思いますがお元気ですか?
俺は元気です。
お店はまだまだ閑古鳥が鳴いている日の方が多いけれど、ギルドへの納品依頼は順調です。
最近はキラープラントの駆逐依頼を受けました。
俺が送った枯れたキラープラントの地下茎はその時に手に入れたものです。
もう届きましたか?
荷物を送ったときに手紙を書くのを忘れていてすいません。
師匠の困惑する顔が思い浮かびます。
忙しい日々を送っていますがまた時間を作って師匠に会いに行きたいです。
ユーリ
異世界で植物採集をして生きていく 羊毛 @youmowool
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