第304話 ピンチこそチャンス

来月登校予定の新しい小説を書いていたので先週は更新を忘れていました。

『精〇が魔王を倒すのだ~男が10人しか居ない世界では、男性の白液が最強のアイテムでした。幼い頃から精巣を鍛えた俺は圧倒的精液生成量で人類を救う~』という責めた内容となっております。

本気で日間ランキング上位目指すのには、スタートダッシュ成功させなければならずストックを作るのが大変……

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核の破壊に失敗し、この場の警報が発生したかのように一斉にドームを形成していた植物が動き出した。

明らかにマズい状況だが、内野は台座に埋まっている核から手を放さずにいる。

異常事態を地上に伝えるには内野が命綱代わりの闇に触れねばならないが、これを異常事態だと判断したナクビは内野の代わりにそれに触れようとする。

だがそこで……


「まだやめろ!多分これはチャンス、今が最大のチャンスなんだ!」


それと止めたのはピンチの最中に居る内野自身であった。

ナクビから見たら直ぐに逃げるべき状況だが、内野の考えはその逆であった。

ナクビは「馬鹿!お前が死んだら俺も川崎さんに殺されるんだって!ここに核があるって分かったんだし逃げようぜ!」

と逃げるべきだと意見するが、内野の意見は変わらない。


(さっきここに来てから思ってた。何やら重要そうな場所なのにあまりにも警戒が薄すぎるって。そして今、俺が核に触れてからようやくこのドームが動き出した事からある事が思いついた。

もしかしてだが、相手は油断していたんじゃないか?人間がこんな地下にまで来るなんて思っていなかったからここの警戒なんてしていなかったんじゃないか?

だとするとこれは一回限りのチャンスだ、相手が油断していたこの一回は逃してはならない!これを逃せば次は無いかもしれないから!)


内野は『独王』で上にいる味方から物理攻撃力を貰い力を強化し、手に掴んだ核を握りつぶす勢いで掴みながら引っ張り出そうとする。

台座は内野の腕を圧迫し核を抜かれないようにするも、内野の本気のパワーには勝てず、内野の腕は徐々にだが抜けていく。


だがこの調子では内野が核を引っこ抜くよりも先に、壁を形成していた根が内野を引き剥がす方が早い。

今にも内野に向かい多数の根が向かって行っていた。


内野が歯を食いしばって力を籠めている間、戦闘能力が無いナクビはオロオロと何をすれば良いのか分からない状態でいた。


「ぐぎぎぎぎぎ……」


「や、ヤバイって!もう退こう!間に合わない!」


「っち……」


これはピンチであると同時に最大のチャンスである。そう考えている内野は退くに退けない状態であった。

テレポートは術者が触れている相手も一緒に転移する事は出来るが、『契りの指輪』越しの転移でもそれが可能かは分からない。

だから今手に掴んでいる核が一緒に転移してくれるか分からず、内野はここでこれを破壊するしか手は無いと考えていた。

核を掴んでいる手で『マジックショット』を放つと、その台座の内部そのものが削れる。そして内野は握っている感触で、今の攻撃で核に傷を入れられた事は何となく分かった。

しかし、握りつぶせるほど壊れていないし僅かに手が台座から抜けやすくなっただけだ。


『マジックショット』を放ち圧が緩んだ台座から、核を握ったまま手は抜けた。さっきまで本気で引いていたので内野は手が抜けると同時に尻もちをつく。

手には白く発光する実が握られているが、その光がさっきよりも弱くなっているので、確実にダメージは入っているのだろう。だが破壊する所までは踏み込めてなかった。


そして内野が尻もちをついたその瞬間、大木の様な太さの根が内野を薙ぎ払う様に振るわれた。

尻餅をついていていたので今から『ステップ』で動いても内野はそれを避けられない。そしてそれに当たれば衝撃が伝わり地上にいる松野が『テレポート』を発動させてしまうので、これで終わりかと内野は悟った。


しかし、そんな内野は突如ナクビによって上方向へ投げ上げられた事でその危機を回避した。

ナクビは根に薙ぎ払われて吹き飛び壁に打ち付けられ、身体がズタボロになる。喉下まで全て潰れて声を出せないが、目は力強く内野を見ており希望を諦めていない様な目だった。

流石生命力特化の生物といった所だろう、これでも痛みは感じていない様子だ。


内野はナクビによって作ってもらったチャンスを無駄にしない様に、根を避けながらどうにかしてこれを破壊する策を考える。

しかし時間は無い。どんどん壁が圧縮して空洞が小さくなっており、最初は東京ドーム一個入りそうな広さだったのに今では学校の体育館並みの広さしかない。

この場に居られる残された時間は10秒程度だろう。


(どうする!

俺の握力じゃ潰せなかった、それに魔力を大量に消費する『マジックショット』でも少し傷を付けられるだけ、破壊するには至らない。

クソ……黒幕からは素のステータスを強化すれば『強欲』が使用可能になるとは言われたけど、まだ俺はそれに割り振ってない。

次のクエストまでに割り振れば問題無いと思っていたから頭から抜けていた、こんな事なら潜る前にステータスを振っておくべきだった!

『強欲』を使えば直ぐに討伐出来たはずなのに……)


内野は残されたSPで自分を強化していなかった事を後悔していた。

もしも今『強欲』を使えれば、内野の肩に付いている闇の命綱と、酸素補給の為に内野の頭上にいる小型の『ウィンド』を使う魔物は離れてしまうも、この使徒を確実に倒せたのだ。


大罪スキル以外でこの少ない時間でこれを破壊する方法、内野はそれが思い浮かばなかった。敵の攻撃を避けながら『ゴーレムの腕』『哀狼の雷牙』で核を破壊しようとするも、少し削れるだけで破壊には至らない。

ここで内野の頭に「諦め」の二字が頭に浮かんだ。

そしてもう退くしかないと思ったその時……


「ギャァ!」


「っ!?ちょま……」


命綱の闇に潜んでいた川崎飼育のゴブリンが内野の手から核を取り上げると、命綱を伝って上へと走って向かいはじめた。

一体何をしているのかと内野は一瞬動揺するも、ゴブリンは敵の核を地上に持ち出そうとしているのだと内野は分かった。

ゴブリンも内野と同じく大罪スキルでしか核を破壊出来ないと考え、上にいる川崎に核を渡そうとしているのではないかと。


内野はゴブリンの思考を読み取り、そのゴブリンが上にたどり着く為のサポートへと回る事にした。

ゴブリンは小型の身体を活かして、自分を捕えようとする根を素早い動きで避けながら進んでいる。

だが内野の方が素早く、すぐにゴブリンを抱える事が出来た。


「『バリア』!俺が道を開ける!絶対に核を離すなよ」


「ギャギャガ!」


内野はゴブリンを素早く上に届ける為にバリアを纏わせたゴブリンを穴に向かい投げつける事にした。しかしこの空洞は壁の根が動いたせいで崩れ、最初に掘ってきた穴は既に無くなっていた。

しかも壁の根が形成するドームのスペースが少なくなった分、このドームの壁を形成する根の壁は分厚くなっていた。

命綱はまだ繋がったままだが、根の壁に圧縮され今にも切れてしまいそうである。


「強引にでも道を作る!黒狼おまえの力を借りるぞ!」


内野が左手に『哀狼の雷牙』を持ち、それを命綱がある方向へと向ける。

この武器の特殊能力である雷撃放出を使用し道を開けるつもりだ。


内野が力を籠めるとその刃が青い雷光に帯電し、ビリビリと内野の身体を雷が伝い身体全体が青く光った。

転移の時とはまた違う青色の光、触れるだけで感電してしまいそうなぐらい青色に可視化された電気が内野の身体を走る。


(俺がさっき掘ってきた穴なら土が柔らかいはず、だからこれで…根だとか全て削り飛ばして道を作る!)


内野がそう意気込み剣先に意識を集中させた瞬間、大きな雷と暴風が同時に起きたかのような爆音がその空洞内に響き、剣先から青色のレーザーの様に見える雷が放たれた。

その雷が放たれるとあまりの威力に風圧で風が巻き起こり、内野の命綱ごと土を飛ばしさっき掘ってきた穴を再びそこに出現された。

そして内野はその穴に狙いを定めてゴブリンを本気で投げつけた。




地上には川崎と松野が待機しており、二人共内野を繋ぐ命綱のすぐ傍にいる。

二人が穴を除いていると、突如奥の方でピカッと光が現れた。


「っ!」


川崎と松野はそれを除いてみていたが、川崎はそれが何なのか判明する前に松野の身体を抱えて穴から離れる。

そして二人が穴から距離を置いた瞬間、内野が入って行った穴から極太の青い雷が付近の地面を削り飛ばし地上へと放出された。その雷はとどまることを知らず、そのまま空へと真っすぐに向かって行く。


今の謎の雷で命綱として置いていた魔物達は全滅したが、そこに驚いている場合ではなかった。


「松野君!テレポートを!」


「了解です!」


松野は川崎の指示で予定通りスキルを使用し、この場に内野を引き戻す。松野の身体が青く光り出し問題無くスキルを発動したのを確認してから、川崎は再び穴へと近づこうとする。


そしてその瞬間、今度は今の雷でブチ開けられた穴から「グギャァァァァァァァァ!」と何かの生き物が叫びながら近づいてきていた。穴の中で音が反響し、よく声は聞きとれない。

川崎は地下にいた魔物が飛び出て来たのかと咄嗟に穴から下がるも、穴から現れたのは川崎が出した魔物である老年ゴブリンであった。身体の周囲にはバリアが貼られており、手には見覚えのある核を所持している。


「あれはっ……!?」


「ギギャ!」


ゴブリンが手に持つ核が嫉妬の使徒の核だったものと同じだと、川崎がそれに気が付いたその時、ゴブリンは空中で川崎に向かいその核を投げつけた。

内野に投げられその勢いを殺せぬままの状態での投擲、なので当然狙いは外れてしまい核は思う様に川崎の元へ飛ばなかった。


「掴め!」


川崎は跳躍して核へ手を伸ばす。それだけでは足りないので闇から魔物の腕を出してリーチを確保し、魔物の腕で核を掴もうとする。


もう数コンマ川崎の反応が早ければ、もう数センチ投擲場所がズレていたらそこで川崎は核をキャッチ出来ただろう。

だがそのほんの僅かな差で結果は大きく変化する。


その数コンマの間に、川崎達を中心とした半径1キロメートルもの広範囲の地面が陥没した。

そしてそれと同時に大量の魔物の根が現れ川崎達を薙ぎ払った。

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囚われの魔物狩り~大罪スキルを手に入れた俺は、敵の力を奪って強くなりクエストを攻略する~ 体育座り @4lwn3

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