第16話『ある少女の話』
「ふぅ……」
とある住宅街の一軒。そこの二階で、一人の少女がヘッドギアを外し、休憩するように水分補給を取る。彼女の名前は『
「なんか変な人に絡まれちゃったなぁ……。まぁ特に何もされなかったけど」
名前から分かる通り、イチカの隣にいるリナである。普段は普通の女子高生。当然ながら、普段は学校に行っているので土日以外はそれほどログインしていない。
「にしても、イチカって。どんな人なんだろう?」
うーんと唸る里奈。と、ここで一階にいる母親が里奈に対して買い物に行くように言ってくる。どうやら豚汁にする予定が、肉を買い忘れていたらしい。
「ねぇ里奈!買い物言ってきてくれない?」
「えー?」
「仕方ないでしょお肉無いんだから!じゃあなんか買ってきていいわよついでに」
「ホント?じゃあ行くね!」
と言う訳で、早速スーパーへ向かう里奈。その後普通に買い物を終え、帰ろうとする里奈。だがその時、見知った顔を発見する。しかし見知った訳ではない、ゲームで見たことがあるのだ。
「……イチカ?」
「えっなんでその名前を?」
つい口から零れたその言葉は、一の耳に届いていた。気まずい沈黙が発生した後、二人は適当な喫茶店に入り、そこで話し合いを始めることになった。
「えーっと……。イチカ、で。いいんだよね?」
「まぁ、そうだね。僕がイチカだ。名前は一」
「あっはい、私はその、里奈。胡桃里奈」
「まぁそんなに緊張しないでよね。あっ店員さん、コーラフロート一つ」
「えっと……」
「なんでもいいよ?今日はおごるから」
「じゃ、じゃぁ……この、メロンソーダを」
そして注文を終えた後、しばらく注文品が届くまで無言を貫いていた二人。しばらくした後、注文した物が届いた後、里奈が口を開く。
「あの……。この前はありがとうございました」
「ん?あぁ、あのヘビー・アンカーって奴の事?」
「は、はい。……実は、私アレに負けてたら引退しようと思ってたんです」
「え?」
「元々、私のレベルは張りぼてなんです。かなり無理して手に入れたレベルで。……無くなったらもう、どうあってもおしまいなんです」
「……そうか」
「でも、イチカが戻ってきて……、本当にうれしかったんです」
「……。そりゃまぁ、その。流石に知り合った人を見捨てるような奴じゃないから」
カランと、氷の音が響く。異様な沈黙が二人を包むが、その沈黙はすぐに破られる。
「あの」
「なんだ?」
「……、レインやってます?」
その後、二人は早々に店を離脱。そのまま里奈は自分の家に戻るが、しっかりとレインは交換していた。
「……、えへへ」
少しだけ、ウキウキな気分で帰った里奈。
「ところで肉は?」
「……あ」
だがすっかり店に肉を忘れて帰ってきてしまっていたのであった。
マジック・スカイ・ワールド~リアルとゲームでの恋愛模様~『試しに種族魔物を選んだらエライことになったんですけど』 常闇の霊夜 @kakinatireiya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。マジック・スカイ・ワールド~リアルとゲームでの恋愛模様~『試しに種族魔物を選んだらエライことになったんですけど』の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます