第15話『旧友、分かり合えない?』


「やっぱりひーにーか!?」


「よぉきー!久しぶりだなぁ!僕も最初は分かんなかったな」


木岐と一。二人は大体五歳から十歳の頃に関係性を持っていた。言わば友達である。家も近いことから、よく遊んでいた。その頃は性別と言うのを知る気が無かったため、よく一緒に風呂に入っていた。


「やー……。久々だねひーにー!」


「あぁ!その呼び方変わってないねきー!」


まさかの旧友との出会いに、大喜びな二人。だがなぜPKをしているのか?と言う疑問がイチカの中に現れてくる。


「ところでなんでお前PKなんかしてんだ?」


「あー……。ほら、私ね、プレイヤーと戦いたいんだけど、全然戦えないからPKになったの」


「あのさぁ……。いや文句言う事じゃないか。で、あいつらは?」


「なんか私の事、姉御って言ってくるの。よくわかんないけど、気が合う奴らだよ!」


要は、単純に強い奴と戦いたいだけであった。これにはイチカも流石に苦笑。一応闘技場的な場所はあるのだが、シンプルにアホな木岐は、それを知らずにPKをしていたようだが。


「何やってんだホント……」


「嘘!?そんなのあったの?!うぅ……。なら初めからそっちに行けばよかった……」


ちなみに。木岐は昔から一といる時に凄い知能が低下する。いないときには普通に大丈夫なくらいなのだが、いる時は完全に一と一緒にいた年齢レベルに下がってしまうのだ。


「と言うか大丈夫なのかよあいつらと一緒にいて……」


「まぁうん。変な事してこないよ?」


「ホントか?大丈夫なのか?僕心配だぞ?」


「大丈夫だよ!あっそろそろ誰か来そう」


「あぁそうだったな」


「ま……まぁ!うん!その辺はこっちでごまかしておくから!ひーにーはその……あっちから帰って!」


「あぁうん。まぁ。わかった」


このままいると、ボロが出ると思ったので一時離脱するイチカ。一応離脱すると見せかけて木の上から本当に大丈夫なのか確認することにした。


「大丈夫でしたか姉御!」


「あぁ。大丈夫だ。気にするな、私の失態だ」


「うーん、そろそろPK止めません?ぶっちゃけ俺らもそろそろ普通にやりたいって言うか」


「そうか。……しかし、止めるにしても止め時が無いんだな」


「ですよねぇ……。最近PKKとか言う奴も出回ってますし」


「……PKK?」


「俺たちみたいなPKをキルする存在ですよ。しかも厄介なことにそいつにキルされるとメチャクチャペナルティが増える武器持ってるとか」


「はぁ。そりゃ厄介だな」


少なくとも仲は良いようだ。色々考えたが、こちらがごちゃごちゃ言う事ではないだろうと岐路に付こうとするイチカ。するとその前方に他所属のPKを発見する。


「なんかいる……。ちょうどいい、ついでに倒していくか……」


と、イチカが地面に落ちた瞬間、そのPKの首が飛ぶ。何事か?と身構えた瞬間、そのプレイヤーはイチカの方を見る。そしてPKではないことを確認すると、素通りしようとする。


「ちょちょちょ」


「なんだ?私はPK共を一掃するので忙しいんだが」


「いやいや、誰?」


「……あぁ。もしかすればだが、何か因縁でもあったのか?」


「ま、まぁそんなところだ」


「であればスマン。次回から気を付けるとしよう。では」


ではじゃないが。と言おうとした瞬間、そのプレイヤーはモクロード達の反対方向へと駆け出す。


「あっちにPKがいるな、じゃあな」


「……名前は?」


「『ウロタカ』だ。PKを見たら呼べ」


そう言って、どこかに帰ってしまう。色々言いたいことはあるが、イチカは頭を抱えながら少し呟く。


「……僕はあいつを倒せるだろうか?」


PKである以上、どうあがいても倒さなくてはならないのだ。だがその中身が友人である以上、イチカには少し、厳しいものがあるのだった。

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