第14話『旧友との再会』


「しかし最近PKと出会う確率が多いなぁ」


日銭を稼ぐために今日も今日とてモンスターを狩りまくるイチカ。だがそんな中、なんか異様にPKと出会う事が気になっていた。大体十分くらいで既に五人と出会っている。


「明らかに狙われてるような」


そんなイチカを囲むように、五人ほどのPKが立ちふさがる。間違いなく、明らかに敵意を放ち、こちらを殺す気で襲ってきている。


「なんでどいつもこいつも……ッ!」


腕を硬化しながらの打撃。単に突っ込んできただけの奴ならこれでおしまいであるが、流石に少し強い奴らが襲い掛かってきているのか、攻撃がなかなか当たらない。


「うげぇっ、スライムじゃねぇか」


「おい魔法使いいるか?」


「いねぇよ」


が、イチカはスライムである。切ろうが殴ろうが魔法以外で倒しにくい相手、そして全くと言っていい程魔法が使えないPK達は、さっさと退散することに決めたようであった。


「『テレポート』」


「あっ逃げた!『テレポート』!」


そのままPKを追う為にテレポートを使うが、先程も言っていた通り、今のイチカが指定している場所はリナの近く。が、なぜか先程見たPK達もすぐそばにいた。


「ん?」


「げぇっ、あいつ追ってくるぞ」


「姉御ぉ!助けてぇ!」


「なんなんだあいつ……」


そのままBARに入っていくPK達。それを追いイチカもまた、そのBARの中に入る。中には大量のPKとリナがいた。


「助けてっすイチカ!」


「あっリナ!なんでここに?」


「こいつらに攫われたっす!」


「あぁそういう事だ。返してほしけりゃ、ヘビー・アンカーのレア武器寄越しな」


相変わらず、クソザコナメクジのリナ。恐らく以前戦ったヘビー・アンカーのレイドボス戦の時に、このPKの中のだれかがいたのだろう。そして倒したと言うのは公開されるので、それを見てリナの元にたどり着いたと言う事である。


「武器が欲しいんならやるよ、俺はいらん」


「うわ鎌じゃん……。おいお前持てるか?」


「鎌は専門じゃないよ」


「……もっといいもの寄越せ」


が、武器が武器。この鎌と言う武器、とにかくクソザコなのである。とにかく振りにくい攻撃しにくい両手で持たないとダメと……。欠点ばかりである。


「足元見やがって……」


(しかしどうする?このまま全員ぶちのめすのは簡単だが、ここ町の中なんだよなぁ。下手にペナルティを食らうのは……リナにも問題が出る。既にNPCから評価が低いのに、これ以上低くなったらもう町に入ることも出来なくなるぞ!)


(クソッ、レベル3の武器が出たって聞いたが……鎌かよ!弱いんだよ鎌って!どうする?下手に攻撃するとPK判定で殺戮兵器が来る……!適当に脅せば武器くれるだろうって思ってたが……こいつは考えてねぇぞ!?)


「……とりあえず、とりあえずだ。まずお前の名前は?」


「『モクロード』だ。お前は……イチカ?」


と、ここでお互いのプレイヤーネームを確認した、イチカとモクロードの表情が変わる。初めはまさかな……と言う疑問だったが、名前の意味を理解し真実にたどり着く。


「……表に出ろ」


「あぁ。おいお前ら。そのリナとか言う女はもう無視していいぞ」


「へぇ姉御。……いいんですかい?」


「どうせロクなアイテムなんか持ってねぇだろ。もう人質にもならないしな」


そのまま、二人は店を出てフィールドに出る。ここであれば戦っても問題は無くなる。しかし二人の真意はそこにはなく、誰にも聞かれない場所で話がしたいと言う感じであった。


「……とりあえず、リアルを詮索するのはダメだって前提で聞くが……」


「あぁ」


「お前一だよな?」


「そういうお前は『木岐きき』だよな?」


リアルの方の名前を聞くこの二人。実はこの二人、凄い昔に関係があるのであった。

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