八尺様に誘われて、よみがえる夏の思い出

「ぽっ、ぽぽっぽ、ぽぽ……。」

「俺」は、ここ何日か、深夜にそんな声を聞いている。2階の窓からのぞく、黒髪にのせた帽子。怖いとは言いながら、主人公はそんな怪異に惹かれてもいるようだった。

視線に気づいたのか、怪異がこちらを振り向く。ぞっとして窓に背を向けると、枕元の携帯、Twitterにポコンと通知が。

『やっぱり、私に気付いていたんだね』

ヒィーーー怖い。本家、洒落怖の「八尺様」はコミュニケーション不可能な、見つけちゃうと襲ってくるタイプの呪いですが、TwitterのDMを介して言葉を伝えてくるこの八尺様もふつうに怖いです。

ネタバレを避けて面白さを紹介するのが難しいんですが、八尺様の特徴とされる白いワンピースと帽子って、考えてみたら夏っぽい、爽やかな装いですよね。

本作はそんなところから、八尺様に”ある設定”を付け加えて、主人公と八尺様の関係性を描き出している作品です。とはいえ、ずっと一人称視点なので、「八尺様」の中身って、ほんとうに主人公の信じている通りの存在なのか……? と、とても不安になります。一粒で二度怖い。

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